皆のことは大好きなんだ。 #GENE (ページ48)

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No.48　白濱side ページ48

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H「なつきと出会ったのは9年前。

なつきが中学2年生だった時に開催されたダンスコンクールの全国大会で、

初めてなつきのダンスを見たんだ。

コンクールと言っても全国の学校のダンス部の集まりだったから、

ほとんどの学校が他者から見て上手いと感じても

表現の仕方に物足りなさを感じたり、

LDHに所属するにはスキルの足らない子たちばかりだった。

だがなつきは違った。

何人かの集団の中の一人にも関わらず、

ずば抜けて目に留まる何かを持っていたんだ。

もちろんダンススキルも表現力も十分備わっていた。

だけどそれだけじゃない。

あのような場で初めて「この子が欲しい」と思った瞬間だった。」

当時のなつきの話をするHIROさんの目は宝物を見つけたかのように輝いていた。

その大会ではなつきの学校が全国優勝、個人へ贈られるMVPも文句なしのなつきだったらしい。

H「コンクールが終わった後、事前になつきの学校の顧問に相談して

なつきと話をする時間をもらった。

そこで俺は「ダンスで生きていかないか」となつきをスカウトした。

ちょうど君ら、GENERATIONSの候補者を決めるオーディションも

開催されようとしていたところだったし、

ちゃんと男に交じってもやっていけるくらいのレベルのなつきがGENEにぴったりだと思った。

だけど、なつきは断ったんだ。」

GENE「「「!?」」」

俺ら全員が思った。

なぜ断ったのかって。

俺らは今のグループに入ること自体沢山の苦労と経験を積んできた。

だからスカウトなんてすごい光栄なことだってことは自分たちが、

いや、なつき自身も十分身に染みて理解しているはずだ。

なのに、、

H「なつきはこう言ったんだ。

「人生、自分の好きなことで生きていける人なんて一握りの人間だけだ」ってね。

まぁなつきの過去を知っていたならそういう考えを持つのもおかしくないだろう。

人一倍貧しい苦しい生活をしてきたなつきからしたら、

将来は給料の安定した企業にでも務めて平凡な生活をしたかったんだろうな。」

確か、前になつきが「もしGENEじゃなかったらどうなってたんだろう」って言ったことがあった。

今思い返せば、この言葉にどれほどの重みがあったかHIROさんの話を聞いてそう感じた。