e p i s o d e ３ ページ3
「…さん……」
「……お客さん！！！」
「…へ！？」
「あと少しで閉店のお時間ですよ」
「え！？」
急いで携帯を見た。
…もうこんな時間か。
あの後、カンナは彼氏からの連絡で会いたいと言われたそうで
彼氏のところに行かせてあげた。
いいな、彼氏。
そういえば、もう恋なんて何年もしていない。
高校時代の時はさすがに彼氏は数人いた事あったけど
今は職業探しでいっぱいだからな…
「これ、お客さんが作られたんですか？」
「え？」
お店の人に聞かれ、振り向けば
私が作った不採用になったケーキを指さしていた。
「あ！そうですよ
でも、これ不採用だったんで捨てようかなって」
「そうなんですか？
ちょっと食べてみていいですか？」
「？
どうぞ？」
と言えば、
お店の人はフォークを持ってきてパクリと１口食べた。
さっきまであまり顔を見なかったけど
そのケーキを食べる横顔を見たら
あらま、かなりのイケメンじゃありませんか。
「…。」
１口ケーキを食べた彼は黙り込み、
真剣な表情でどうやら考え事をしているようだ。
「…あのー、」
「お客さん！！！うちで働きませんか！！」
「は、はい！？」
え、えっと…
いまどういう状況…
「うちはここから結構遠いですけどレストランを経営してるんです！！
こんな美味しいケーキを食べたのは久しぶりで！
是非うちで働いてもらいたいです！！」
「えっと、、あの…」
「………あ。」
すると、急に頭をかかえてテーブルに寄りかかる彼。
「すみません…、いきなりこんなお願い…
困りますよね！今のは忘れて…」
「やります！！！！」
「…え？」
「やります！！！やらせてください！！！」
と立ち上がって言った私に
目を見開いて、驚いているようだ。
せっかくシェフの方が私を必要としてるみたいだし
しかもイケメンシェフさんだし！！
今、危機的状態である私。
ここは断るわけにはいかない！！！
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作者名：YUME | 作成日時：2018年1月8日 2時
