検索窓
今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:11,284 hit

◆63◆ ページ32

.



.



(……でも……)



きっと神は、それを片割れの安らぎであると決めつけているのだろう。




ふっと、そんなことを考えたAは自分が片割れだということを再認識させた。




やっぱり、完全な人間や化身にはなれないんだ。




(化身も人間じゃない……でも、国がある限り半永久的に消えることがない。)




例え永遠に生きていくことになったとしても、消失の恐怖に怯えなくてすむ化身を、Aはどこかで羨んでいた。




「……Aー?」




のぞき込んだ、アーティの顔が映る。Aはとっさに感情を隠し、アーティに答えた。




「……なんでもない。」



「そっかあ。……そんなわけだから、Aも気をつけてね?」



「ありがとう、わかったわ。……ねえ、アーティ。」




「んー?」



「あなたは、怖くないの?」




「何がー?」



「……この世界から、消えてしまうこと。」



また、だ。Aは締め付けられ張り裂けそうな胸を押さえ、ぎゅっと拳を握り締めた。




他の片割れが消えていくのを見てきたから、余計、怖い。




Aは、消えることが怖かった。痛みや、足や手が消えていくことの恐怖ではない。『もう二度とそばにいられなくなる』『忘れられてしまう』という、事実と未来に恐れていた。



エリザベータのそばにも。そして、ギルベルトのそばにもいられなくなる。



そして二人とも、いつか必ず、自分を忘れてしまう。




それが、とても、Aにとって怖いことであったのだ。

◆64◆→←◆62◆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
設定タグ:ヘタリア , 夢小説 , 史実   
作品ジャンル:その他
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

幻想曲(プロフ) - darkness duskさん» ありがとうございます!はい、更新頑張りますね(´∀`*)そう言っていただけるのが一番嬉しいです(^q^) (2014年9月4日 0時) (レス) id: 4fb4e092fe (このIDを非表示/違反報告)
darkness dusk(プロフ) - 初めまして。いきなり失礼します。続編おめでとうございます!いつも楽しみに読ませていただいてます!頑張って下さい! (2014年9月4日 0時) (レス) id: ff9839b328 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru  
作成日時:2014年9月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。