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「えっと……イヴ、だったかしら?私はAよ。よろしくね。」
「……」
イヴは、長いマフラーで口元を覆いながら低く、Aがやっと聞き取れるような小さな声でよろしくと返した。
無口には、ギルバートのおかげで慣れていたはずだった。それでも、イヴはギルバートよりずっともっと寡黙な青年だった。
それでも、Aはフロレンスよりもイヴの方が好ましかった。
そこにまた、フロレンスの声が飛び込んでくる。
「はあーもう、愛想悪いなあイヴは!せっかく綺麗な容姿してんのにもったいないの!ま、俺の方がうーんと綺麗だけ……うお!?」
痺れを切らしたロディが、背後から音がするほど強くフロレンスを殴りつけた。
髪が、美しさが、と喚くフロレンスを尻目に、ロディはイヴとAに向かって口を開いた。
「……とりあえずあいつは置いといて、味方同士よろしくな。あの人の願いは、シュレジェンの奪還だ。厄介なのは、今度は向こう側にアーティがついていることだな……まあいい、こっちは三人も味方がいるんだ。ギルベルトだったか?そいつをボコボコにしてやるからな。」
なんの変哲もない、ただの作戦の話。そんな話にさえ、Aの胸はずきずきと痛みを増した。
(……ギルベルト……)
主と自分の心の狭間で、揺れ動くA。
そんなAを、イヴはただじっと見つめていた。
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幻想曲(プロフ) - darkness duskさん» ありがとうございます!はい、更新頑張りますね(´∀`*)そう言っていただけるのが一番嬉しいです(^q^) (2014年9月4日 0時) (レス) id: 4fb4e092fe (このIDを非表示/違反報告)
darkness dusk(プロフ) - 初めまして。いきなり失礼します。続編おめでとうございます!いつも楽しみに読ませていただいてます!頑張って下さい! (2014年9月4日 0時) (レス) id: ff9839b328 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2014年9月4日 0時