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「あー。何話そうかな。」
「おいおい、ジョングク。
何十回目だよ、リリイベに来るの」
「…21回目ですけど？」
「いやお前めちゃめちゃ正確に把握してるやん」
「当たり前じゃないですか…推しに会うんだもん、」
リリースイベントに来ることは初めてのことじゃない。
でも毎回、必ずと言っていいほど緊張してしまう。
向こうは俺の話すことなんか気にもとめていないだろうけど、
俺が Aちゃんに直接思いを伝えられる時間はここしかないし。
「…そういえばさ、お前、あの話聞いた？」
「あー、掲示板のですか？」
「そう。Aちゃんが、卒業するかもってやつ、」
「俺はそういうの信じないです。」
「…。」
「俺は、本人の口から聞くまでは絶対信じないです。ヒョン。」
握手会で話す時間なんて、たかだか数秒間だ。
そこで俺が、彼女に一体何を伝えられるんだろう。
ただのオタクだ。
誰かはそう言って笑うかもしれない。
だけど、俺は今日も思うことがある。
「じゃあ、行って来ますね。ヒョン」
握手をする順番が、いよいよ俺に回って来る。
「こ、ここここここここここんにち「はい、ありがとうございましたー」
「ありがとう！また来てね！」
何か話そうとしたところで、剥がしのスタッフがものすごい勢いで俺を押してくる。
現実なんて、こんなもんだ。
俺が今日も思うこと。
それは、今日も Aちゃんは可愛いってことだ。
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作者名：√ | 作成日時：2019年2月21日 14時
