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つい先週まで推しとファンという関係でしか無かったAちゃんと俺。
それが「友達になる」という展開になるなんて誰が想像しただろうか。




生きていればいいこともあるんだなぁ…。



と、頭の中で考えるけれど、
テヒョニヒョンにも言った通り、俺はファンの一員には変わりないと、思っている。

Aちゃんには教師になるという目標を持ってこの高校に転入してきて、
その過程に偶然俺が居合わせたというだけなんだから、邪魔だけはしないようにしないと。


もし彼女があの場に戻るのだとしたら、俺はその場所で温かく彼女を迎えられるように。
そうしたいと思うから、あまり彼女に深入りしないようにしたいな。

自分のAちゃんへの「好き」という感情は、きちんと抑えよう。
こんなちっぽけな自分を救ってくれた、誰よりも大切な人なんだから。



「……ジョングクくん!ねえ!」
「へっ?」



誰かに名前を呼ばれてハッとする。
慌てて声がした方を向けば、少し心配そうな顔をしたAちゃんがいた。




「…ボーッとしてたの?もう次の授業始まるよ?」
「あ、」
「次、数学でしょ?もう英語の授業終わっちゃったよ?」





し、しまった。
あまりにも思考を張り巡らせてしまったようだ。
俺の机の上には英語の授業を受けていたときのままの教科書や筆記用具が並べてある。

休み時間の間もずっとそのままボーッと過ごしていたようで、
見るに見かねたAちゃんが、声をかけてくれたようだ。



「…ありがとう」
「ううん、口開けてボーッとしてるから、大丈夫かな?って思って」
「(…死んだ)」


「…でも女の子達みんな、ジョングクくんのこと見てかわいいって言ってたよ」
「え?俺が?いやいやいやいや。俺クラスの女子に避けられてるし。
女友達もいないし、ありえないですよ。」


「そうなの?そんなことないと思うけど…」
「Aちゃんを見て言ったんじゃないですかね?」
「…いやいや。私は可愛くないからありえないよ、」




「いやいや、世界で一番可愛いですから。」
「…えっ」



しまった。
反射的に普通にべた褒めしてしまった。
目の前のAちゃんは、何だか気まずそうに照れている。


くそっ、
ファンでいる事と友達でいる事の両立って難しい…
どうしてもファンとしての人格が勝ってしまう…


俺、この先大丈夫かな。

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作者名: | 作成日時:2019年2月21日 14時

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