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コンコン。





「小島でーす」





部室の扉をノックする音、
小島くんのよく通る声が
静かな廊下に響き渡った。


と、
ガラッと扉が開いて、
背の小さい__確か、末澤先輩が顔を覗かせる。





「お!仲間も連れてきてくれたな……って、……誰?」





私を見るなりそう呟いた末澤先輩に、
「ちょっと誠也くん失礼ですって!」と晶哉くんが肩を叩いた。


同じ目線の高さでびっくりするものの、
私は慌てて自己紹介する。





「あ……、小島くんと同じクラスの五十嵐美智子です」


「入部希望者なん?小島ええ奴連れてきたやん!」





末澤先輩はそう言うなり、
部室内の方に向けて「小島ら以外に一人来とるでー!」と叫んだ。



「え!?うそ!」「ほんま!?」「やったー!!」と続けざまに聞こえた叫び声。
ガタガタと大きな物音をたてて飛び出してきたのは、
部長の大橋先輩だった。





「うわぁー!しかもめちゃくちゃかわええ子やん!こんなかわええ子がバンドなんてできる〜ん?」





小島くんよりも激しく
いきなり両手を取られぶんぶん上下に振られる。


その行動の目まぐるしさに
私がぽかんとしていると、
続けて出てきた……えーっと、
確か藤原先輩が苦笑いした。





「ごめんな、大橋こういう奴やねん。嫌やったらズバッと言ったって」


「あ、はい……」





すると、
今度はひょこっと西畑先輩が顔を覗かせる。


私を見るなり優しく細められた目は、
きっとモテるんやろうなぁ、
ってわかるのには充分すぎた。





「軽音楽部へいらっしゃいませ。まあとりあえず部室入ってぇや」


「わーい!」





無邪気に駆け込む晶哉くんたちに続いて、
私も部室に足を踏み入れた。


割とこぢんまりとした部室内は、
ギターやベース、
ドラムからサックスまで、
多彩な楽器たちが無造作に置かれている。


開け放たれたカーテンからは
優しい日光が降り注いで、
部室内を明るく照らしていた。


座っていたリチャード先輩が
きょとん、と私を見つめる。


部屋の真ん中に集められた机の上には
先輩たちのものと見られるお弁当が置かれていて、
美味しそうな匂いが鼻をくすぐった。





「俺らもお昼にしよー」





小島くんがそう言うと、
末澤先輩が端に寄せられていた机を運びはじめた。


「ほら、お前らも手伝えや」との声かけに
私も運ぼうと身を乗り出すも、
「美智子ちゃんは運ばんくてええよ」と
正門くんに止められてしまう。


結局何もできずに、
私は並べられた椅子におずおずと座った。

.→←4.軽音楽部!



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作者名:みづき | 作成日時:2024年1月5日 18時

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