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〜佐野side〜
「でも手ぇ繋いどったやん！」
俺が反論すると、
こじけんは腕を組んで小さくため息をついた。
「握手しとっただけ」「なんで？」すかさず切り返せば、
「俺たち友達になったから」なんて答えが帰ってくる。
む、とふくれっ面になってしまいそうになるも、
目の前に女の子がおることを思い出して。
「よろしく、」
小さく言って、
改めてその女の子をちゃんと見てみた。
さっきまでこじけんばかりに気を取られとったから気ぃつかんかったけど、
その子はめちゃくちゃ綺麗で。
不意に目が合って、
どき、と心臓が跳ねた。
「で、みんなにも紹介せなあかん感じか……」
「あ、自分で自己紹介できるで？」
んーん、とこじけんは首を振る。
「俺が紹介したいから」なんてさらりと言ってのけるこじけんは、
やっぱりナンパしとってもおかしくないって。
「この子は、五十嵐美智子さん。ぼっち同盟組んだ」
「そんなん組んだ覚えないけど」
無口だったからおとなしめの子なんかな、って思っとったのに、
こじけんと話すときは至って普通の女の子やった。
俺らに対しては置かれている距離が、
何故かこじけんにはない気がする。
こじけんみたいに
ぐいぐいいったほうがええ感じなんかな？
「なんて呼べばええ？俺晶哉でええよ！」
少し食い気味に言えば、
じゃあ「美智子で……」と照れたように笑う……美智子ちゃん。
「え！？じゃあ俺も美智子って呼ぶで？」
とこじけんが焦ったように言うのが何だかおかしい。
どうやら、
こじけんが一人で寂しくなる心配はいらんくなったみたいや。
でも、
二人で仲良くなっていくんやろうなあ、
と想像した時に胸が痛くなるのは何でなんやろうな？
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作者名：みづき | 作成日時：2024年1月5日 18時
