一番近いはずなのに。 ページ9
ユーチューブの撮影が終わり、時計を見ればもう十時で。
いつも通り一瞬で過ぎ去っていく、掴めない”時間”というものに、僅かな哀愁を感じてしまうのもいつものこと。
でも、今日は一つだけ、いつもと違うことがあった。
西畑「Aー、準備できたぁー？」
香住「おん、ちょっと待って！」
一人だけの楽屋。扉の外から聞こえる声は、のんびり、だけどいつもより明るくて。
慌ててリュックを掴んで扉を開ければ、優しく、表情を和らげてくれる。
西畑「ほな、行くか」
香住「うん！」
そう、今日は、久しぶりに大ちゃんとご飯。
先刻ユーチューブの撮影で、最近大ちゃんとご飯に行ったという話は持ち上がっていたものの……、あれも、一ヶ月前のこと。
大体のことは打ち明けられる距離感を持った私達は、一緒にご飯に行くことが息抜きになる。
だから、一ヶ月に一回なんかじゃ、物足りないのが本音。
見慣れた大ちゃんの車の助手席に、「お邪魔します」と乗り込んだ。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
西畑「ねーえー、Aはさぁ、好きな人とかおらんの？」
ほんのり顔を紅く染めた大ちゃんに、私は苦笑を零す。
大ちゃんが酔ってしまうのは、いつものこと。適当にあしらえば、何とかなる。
手元の枝豆をつまみながら、「そう言う大ちゃんはどうなん？」なんて、訊いてみた。
西畑「俺は……、」
止まった言葉に、手元から大ちゃんへと視線を移す。その潤んだ瞳は、机の上を行ったり来たり。
西畑「言葉、に、縛られとる」
香住「言葉？」
西畑「そう」
またいつもの”迷”言かな、と笑いそうになる。
西畑「……例えばさ、わかりやすいし、俺の好きな人がAやったとして」
香住「……うん？」
西畑「俺と恋愛するのは、他のメンバーと恋愛するのより難しいと思うねん、Aにとっても俺にとっても」
香住「なんで？」
込み上げてきそうになる苦笑を飲み込もうと、グラスに手をかけた。
でも、その必要が無くなったのは、
あなたの潤んだ瞳が、涙によるものだと気がついたから。
西畑「”幼馴染”って、言葉に縛られる」
例えば。
私と流星とか、私とみっちー。
二人の間にあるのは、
「メンバー」「先輩後輩」「仲間」。
その他にもたくさんあるだろうけれど、その関係の壁を乗り越えるのは容易で。
だけど、私と大ちゃんの間にある、一番大きな壁は、
「幼馴染」だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みづき(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！私もジャニーズ全般大好きです💕美紀さんもお身体ご自愛くださいね！これからもよろしくお願いいたしますいいたします (12月26日 14時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - なにわ男子とジャニーズ全グループ大好きですコロナとか温度差で体調に気をつけましょう (12月26日 10時) (レス) id: fa15550fa1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みづき | 作成日時：2023年12月25日 17時
