11.見定められる実力 ページ22
※行の空け方ちょっと変えました※
※わかりやすいように、発言者の名前を入れました※
＿＿＿＿＿＿＿＿
西畑「んー、曲は決まったけど楽譜用意できるんは次回やから、今日は自由練習にしよう！」
西畑くんが空気を変えるように大きな声で呼びかけ、先輩達が立ち上がった。各々椅子を移動し、担当の楽器を手に取っている。
私たち一年生はその様子を見ていることしかできず……。なんとなく自分もやっていいのかわからないような、謎の気まずさがあるから。
その様子を見かねてか、藤原くんがこちらへ寄ってきた。
藤原「お前ら、なんか弾いてみてよ。実力を見る、なんて堅苦しいことは言わへんから、普通に聞きたいだけ」
藤原くんはそんな風に言ってくれるけど、本当にそうなんだろうか……。
きっと緊張しなくてええよ、という意味で言ってくれたんやろうけど、こんなの緊張してまうよ。
隣に座るみんなと目を合わせて、『誰からやる？』とこそこそ話し合う。
でも、最初をやりたがる人がいないようで……。これは、誰かが言わんと始まらんやつだ。
多分きっと、その誰かは、私なんやろうなあ。
どきどきし始める胸を必死に抑えて、私はゆっくりと手を挙げた。
五十嵐「私、最初に弾きます」
大橋「おっ、ええねぇ」
椅子から立ち上がり、机の上に置かせてもらったギターケースを開ける。真新しい綺麗なスパークルを手に取れば、手が震えているのがわかった。
ギターを教えてくれる先生以外に聞かせるのは久しぶりで。人に聞かせるのってこんなに緊張するものやったたっけ……。
黒板の前に移動すると、動きを止めてこちらに注目してくる全員の視線が刺さるようだ。
できるだけそちらを見ないようにしながら、使い慣れたピックを弦にかけた。
五十嵐「THEE MICHELLE GUN ELEPHANTさんの、『シャンデリヤ』です」
丁度今練習していて、フルで成功させたことがまだ一度もない曲。
でも、きっと……今の私なら、できるはず。今初めて成功できたら、かっこいいもん。
スパークルの、吸い込まれそうな深い深い夜空の色に身を任せる…………。
ヒステリックかつ、スリリングなビート。高ぶる胸。苦手なカッティングも、今までで一番上手くやれた。
最後の一音＿＿その音が脳内の楽譜とぴったりとハマった時、部室内に拍手が沸き起こった。
末澤「めちゃくちゃ上手いやん！」
正門「ノーミスやんな？エグっ」
口々に褒めてくれるみんなに、私はほっと一息ついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 253人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
