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穏やかだった空気に、
ゆっくりと緊張が走ったのが感じられた。
西畑くんが大橋くん、藤原くんと順に目配せし、
「それは、」と口を開く。
「実は相談しててん、俺ら高三で。それで出した結論っていうのが、末澤にギター兼ボーカルをやってもらおうと」
「末澤はそのこと知っとるん？」
「もちろん。相談した上で承諾も得とる。せやから、俺らが引退するまではとりあえず末澤のギターのパートを減らすことにした」
末澤くんの表情をそっと伺うも、
わずかに顰められた眉以外からは何の心情も読み取れない。
もしかしたらギターだけに専念したいな、
ってまだ思っとるんやないかなって。
全然末澤くんのことなんて知らない癖に、
全く必要のないかもしれへん心配をする。
「さ、そうと決まったら曲決めましょ。何かやりたい曲とかある人います？」
不意に、隣の晶哉くんがそわそわ動いた。
その横顔を見上げれば、
気まずそうに目を泳がせていて。
晶哉くんの様子に気がついたのか、
藤原くんが「高一も遠慮なく言ってええからな」と声を上げる。
その視野の広さに驚く暇も無く、
「じゃあ、はい！」と晶哉くんが手を挙げた。
「『LIFE〜目の前の向こうへ〜』っていう曲なんすけど」
「あ、それ知ってる」
びっくりしたように声を上げたのは、
大晴くん。
「めちゃくちゃ歌詞もええやつやんな？」と興奮しだした大晴くんに、
「ちょっと調べてみるわ」と大橋くんがスマホを取り出した。
うちの学校は校則が緩めなので、
校内でのスマホの使用はオッケー。
義務教育ではないんだから、
スマホばっかいじって単位落としても自業自得やし知らへんぞ、
ってことらしい。
「＿＿"もう一切 もう一切 振り返らずに歩み続けたい"」
「"まだまだ終わらないから"＿＿」
歌詞を読み始めた声は落ち着いていて、
いつもの元気な雰囲気からガラッと変わった大橋くんに
思わず引き込まれそうになる。
歌っているわけではなくて、
ただ、歌詞を読んでいるだけなのに。
切なさも、
力強さも、
儚さも、
全部全部、伝わってくる。
それはやはり、
大橋くんの才なのか。
大橋くんが読み終われば、
自然と沸き起こる拍手。
「ええやん」なんて、
西畑くんが微笑んだ。
黒板に、白い文字が書き込まれる。
『LIFE〜目の前の向こうへ〜』
「じゃあ、他にはある？」
西畑くんの声に、
手を挙げる人はいなくて。
「せやったら仮でこれに決定しよか」と黒板に丸がつけられた。
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みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
