2.仲良し四人組 ページ3
〜正門side〜
時はちょっと遡る。
クラス別けを見て嘆くこじけんをどうにか教室に放り込み、
俺は大晴と晶哉と一緒に座席表を見つめていた。
みんな名字はバラバラなので、
もちろん席もバラバラ。
特に一番前の列になってしまった晶哉は、
「しばらく生きていかれへんかも……」と不安げに呟いている。
それでも、
クラスが一緒になれただけまだましで。
俺たち四人、
中学からのメンツの中で
こじけん一人だけ引き離すなんて、
神様のいたずらにも程があるなあ、
なんて思ってしまう。
「なあ、こじけんのとこ行ってあげようや」
大晴の言葉に、
晶哉が「せやなあ」とのんびり言った。
俺も頷いて、
早速荷物を自分の席にかける。
二人が荷物を置いたのを確認して、
俺らは教室を出た。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「ちょっと待って！」「え？」「うわっ」
扉を開けた俺がいきなり立ち止まったから、
後ろの二人は俺にぶつかってしまった。
「何すんねん」「はよ入ろ」口々に喚く二人を制して、
俺は一点を指差す。
窓から二列目の一番後ろに座るこじけんは、
隣の席の女の子と手を繋いどった。
＿＿しかも、めちゃくちゃ綺麗な女の子。
ミディアムボブ？って言うんかな、
肩より少し長い黒髪は遠くから見てもさらっさら。
明らかに周りの人より肌が白くて、
ぱっちり開いた目は動揺したように視線を泳がせている。
「まさかのナンパ！？」
「助けに行かな！」
晶哉のかけ声を合図に、
二人は教室内に飛び込んだ。
そのまま全力疾走して、
こじけんに突っ込む。
小走りで追いかけた俺は、
「すみませんね」と女の子に笑いかけた。
「……噂をすれば」
こじけんが、
げんなりと二人を押しやった。
何が起こったのかわからない、
とでも言いたげな女の子に、
こじけんが俺らを一人ずつ指差す。
「こいつらが、俺の友達。
こいつが正門良規で、」
紹介されていることに気づき、
慌てて「よろしくなぁ」と微笑みかける。
「よしのり……」と呟く女の子に、
思わず苦笑がこぼれた。
「珍しい名前やろ？呼びづらかったら、全然正門とかって呼んでぇな」
「あ、はい……」
目が合うと、
やっぱり動揺したように視線がさまよう。
人見知りさんなんかな？
「ナンパはよくないで！」
「でこのうるさいのが佐野晶哉」
「うるさくない！」
肩にチョップを喰らわせようとした晶哉を、
こじけんが睨む。「ナンパやないわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 253人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
