9.空が映えるひと ページ18
「ん……」
重い瞼をゆっくり上げる。
体全体を包みこんでくれるような
日光の暖かさが気持ちよくて、
机に突っ伏した体制を保ったまま
顔だけ上げた。
時刻は十二時を回り、今はお昼休み。
早速仲良くなったグループで集まり
お弁当を食べる人たちで
教室は賑やかな声でいっぱいだ。
それに比べ、
四時限目が終わってから
いつの間にか眠りに落ちてしまった私は
ぽっち確定かもしれん。
なんとなく隣の席に視線を移せば、
几帳面にしまわれた椅子には誰も座っていなかった。
教室内に視線を滑らせるも、
隣の席の彼はいない。
のっそりと体を起こせば、
不意にせっけんのような爽やかな香りがふわっと漂った。
それと同時に、
腰と椅子の間に何かが落ちる感覚がする。
その何かを引っ張り出せば、
私のものではないブレザーだった。
この香りといい、この大きさといい、
もしかして……と思いながら
名前が書いてあるタグを見る。
「小島……」
途端、どきっと心臓が跳ねた。
え、小島くんが寝とる私に
ブレザーかけてくれたってことやんな！？
このブレザーをどうしていいかわからず、
でもお腹が空き始めて……、
とりあえずお昼にすることにした。
そういえば……。
確か、この学校って屋上が開放されとるんやっけ？
屋上でお弁当を食べる、
なんていかにも青春らしい構図を想像し、
私はランチバックを掴んだ。
ついでに、途中で会えたらと
小島くんのブレザーも手に取る。
私は早速屋上へ向かった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「えっ？」「は？」
屋上への扉を開ければ、
ベンチに座る小島くんと目が合った。
てっきり、誰もおらんと思ってたのに……、
まさか、小島くんがおるなんて。
「何でここにおんの？」
「いや、小島くんだって」
とりあえず扉を閉めて、
小島くんの座るベンチに近寄った。
「そういえば」とブレザーを見せれば、
「あ」と小島くんが思い出したように目を開く。
「これ……多分、私にかけてくれたんよな？」
隣に座ると、
小島くんは照れたように視線を逸らした。
「あのまんま寝てたら……風邪引くし」
と呟く小島くんも、
案外優しいのかな、なんて。
「ありがとう」と返せば、
小島くんはそのブレザーを羽織る。
「お前もお弁当持ってきたん？」
「え？うん。屋上で食べるってなんかええなぁって思って」
「おんなじ事考えんなや」
そう笑う小島くんに、
私もつられて笑みを零した。
私たち気が合うんかな、
なんて考えて勝手に嬉しくなってしまうのは
ダメですか？
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みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
