7.正門くんとお買い物 ページ14
普段学校にも電車で通学しとる私達は、
家も何駅か分には遠くて。
電車に揺られながら
モニターに映し出される駅名を見て
〈もうすぐ着く！〉と正門くんに送信する。
日曜日の車内は平日以上に混雑していて、
窓に寄りかかりながら
そっとため息をつく。
駅に停車しやっと一息つけると思いきや
後ろから降りてくる人の波に押され、
エスカレーターを必然的に上らされ、
やっとこさで改札を出た。
〈おっきい桜の木の下のベンチで待っとるな〉
とのメッセージを確認して、
きょろきょろと辺りを見回す。
正門くんの言う通りその桜の木は
とっても大きい枝垂れ桜で、
一目瞭然だった。
その下のベンチに向けて駆け出せば、
昨日みっちーに選んでもらった白いスカートが揺れる。
正門くんはすぐに見つかって、
初めて見る私服姿に思わず足を止めてしまった。
デニムの上着を着こなす正門くんは
明らかに周りの人よりかっこよくて、
ベンチの背もたれに軽く寄りかかる姿は
めちゃくちゃ絵になっていたから。
そっと「正門くん」と声をかければ、
ぱっと顔を上げた正門くんと目が合った。
「おー、おはよう！」
「おはよ」
いつも通り優しく微笑む正門くんに、
私服の効果なのか鼓動が早くなる。
「よし、行こか」と立ち上がった正門くんを、
私は無言で追いかけた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「ここが、俺がよく来るギター屋さん」
正門くんが立ち止まったのは、
真っ白に塗られた壁にブラックのアルファベットで
『NAGASE』と書かれた割とシンプルなお店だった。
「ナガセ……」と口に出してしまえば、
「そ。実はここをやってる永瀬さんと俺知り合いやねんなぁ」と正門くんが笑う。
扉を開けてくれた正門くんに続いて
店内に足を踏み入れる。
壁一面に掛けられたギターたち、
むわっと香る新品の楽器特有の匂いに、
思わず「うわぁ……」と感嘆の声が漏れてしまった。
すると、
お店の奥から「いらっしゃいませ……あれ？正門やん」
と同い年くらいの男子が出てくる。
これまた綺麗な顔立ちの人で、
「この人は、店長の息子さんやで」
と正門くんに紹介されるまで見惚れてしまった。
「あ、永瀬廉です。はじめまして」
律儀にお辞儀をしてくれたその人に、
私も慌てて「五十嵐Aです」とお辞儀を返す。
「廉って呼んでね。Aちゃんって呼んでいい？」
と首を傾げる廉くんに、
私はもちろんと頷いた。
「廉は俺らと同い年やで」
正門くんの言葉に、
へぇー、と廉くんを見つめた。
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みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
