1.隣の席の小島くん ページ1
ガラ、と扉を開けると、ちらほら座る人々の視線が私に集中した。
「おはようございます、」小さな声で呟く。
視線の置所がわからず、よろよろと床の辺りを彷徨った。
扉を閉め、セーターの袖口を引っ張って、手を包む。
どこかぎごちない空気は、新学期独特のもの。
教壇に上がって黒板に貼られた座席表を見れば、
窓際の一番後ろだった。
出席番号順……だから、窓際はあ行の特権。
名字が”五十嵐”である私は、
昔からずっとここら辺の席に一定期間はいられたから、
お気に入りの席やねんなぁ。
一応、隣の席の人の名前を確認しておく。
『小島 健』
あいにくの男子。
人見知りしがちな私からすれば、
男子って話しかけづらいし、不運だったかもしれへん。
取り敢えず、自分の席まで歩み寄って、座ってみた。
端っこの席であるここは、教室内はもちろん、窓の外も見渡せる。
ここ、三組の教室からはちょうど真正面に校門を見ることができた。
校門から左右に伸びる塀に沿って咲き誇るのは、無数の桜並木。
ひらひらと舞い散る花びらを見れば、
何だか高校生活も上手くいきそうな気がした。
……すると。
近くに人の気配を感じて、ちらっとそちらを伺う。
どうやら隣の席に人が座ったみたいで。
確か名前は……小島くん、だったよね。
そーっと横顔を盗み見ると、
その端正な顔立ちにドキッと心臓が脈打った。
＿＿全然、想像しとった男子とちゃうやん。
私の想像していた小島くんは、
もっとそこら中におるような男子高校生だった。
ノリが良くて、
すぐ調子に乗りそうで、
周りにどんどん話しかけていくような一軍男子。
でも見た感じ、小島くんはそうじゃない。
もっとクールで、
綺麗な人で……。
ともかく、その切れ長な目は何の感情も宿していなさそうやった。
すると、視線に気がついたのか、
こちらを向いた小島くんと視線がぶつかってしまった。
正面から見た顔はもっと整っていて、
思わずはっと息が止まる。
しばらく見つめ合っていたけれど、
慌てて私が会釈すると、小島くんも応えてくれた。
何だか照れくさくなってしまって、
かばんから本を取り出す。
しおりが挟んである場所とは全然違う場所をぱっと開いて、
顔を隠すように本に近づけた。
どきどき。
ちょっと目が合っただけでこんなになってしまう私は、
どれだけ人見知りしてんねん。
「……あの、」
不意に発せられた声は、
私に向けられたものだと気づくのに少し時間がかかった。
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みづき(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます！！感想を言ってくださったお方が初めてなので嬉しさで今胸がはち切れそうです……🥹これからもどうぞよろしくお願いします！！！！ (12月18日 18時) (
レス) id: 7f61fbad39 (このIDを非表示/違反報告)
み - 前作から読んでいました。今回のも楽しみに読まさせていただきます！更新頑張ってください (12月17日 12時) (レス) id: 6eca363505 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - ご指摘ありがとうございます！以後気をつけさせていただきます。 (12月9日 7時) (レス) id: b2f60789f5 (このIDを非表示/違反報告)
苺たると。(プロフ) - １ページ目のこじけんの名前が小島建になってます(>_<) 小島健です！ (12月8日 21時) (レス) @page1 id: eae7988c87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みづき | 作成日時：2023年12月6日 21時
