▽ ページ28
その2日後。
父さんが学会に発表。
一躍、能力研究の第一人者として名を馳せるようになり、数多の取材が舞い込んだ。
そんな時、ふっかが俺の前に姿を現した。
「博士のサポーターとして、これから、宜しくね、翔太くん。」
「翔太で良いよ！」
「翔太く…翔太の能力は何？」
「俺の能力？生まれた時から、ずっと、心を読む能力だよ！」
「…へぇー…そうなんだ。」
「彼の事は良いの？」
「えっ、あっ、涼太！」
「……。」
涼太は何も言わずに去ってしまった。
その目は哀しみを堪える瞳。
いつからか、彼の綺麗な笑顔が少なくなった。
「彼、涼太くんって言うの？」
「うん！涼太はね、俺の幼馴染でねっ！無効化の能力を持ってるんだ。凄いんだよ！」
ふっかと仲良くなっていくうちに、涼太と喋る機会が減った。
それに気付けば、涼太から俺に絡んで来る事は無かった。
高校も一緒だった。
彼は部活動などで活躍していた。俺はそれを密かに喜んでいた。無口になったけど、笑顔があったから。
「涼太、聞いて！俺の夢。」
「…翔太の…夢？」
「俺の夢は、父さんみたいな立派な研究者になる事！涼太は応援してくれる？」
「……ああ。」
そして、時は大学。
俺が大学生になる頃には、父さんが「博士」となっていて忙しく、滅多に家に帰って来なくて、研究所に篭りきり。
俺は涼太とその時に一緒に居た目黒を誘い、父さんの講演会を聴きに行った。
立派だったけど、話を聞くにつれて父さんの思い浮かぶ考えが怖くなった。
目黒は目をキラキラさせていた。
その帰り道、涼太と2人きりになった。
講演会で感じた事を涼太になら、話せる気がしたから。
「涼太、俺の夢、変わっちゃった。」
「…夢？親父の…博士の後を継ぐのでは？」
涼太は不思議そうに首を傾げた。
「俺はあの人の考えには着いて行けないって思った。とにかく、後継者にはなりたくない。」
「…何になるつもり？」
「俺は警察官になる！父さんが革新的な研究をしていて進化を遂げているのは分かった。でも、今、能力者が犯罪を起こす事が増えた。俺はこの心を読む特殊能力でそれを食い止めたい。これなら、治安維持に使えるかなと思ったんだ！」
「……応援してる。」
涼太の目が寂しそうな目をしていた。
それは俺に対して絶望している目だった。
俺は見て見ぬふりをして、思い切って涼太に尋ねた。
「涼太の夢は？」
「……この能力を活かせる仕事。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 528人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤雪(プロフ) - ぶるーちーずさん» コメントありがとうございます！無事に完結しました！大好きと言って頂けて光栄です！赤い貴族がメインの話、増えてほしいんですけど…まあ、自給自足って感じで自分で書いて行きます！これからも作品を宜しくお願いします！ (2020年2月10日 12時) (
レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶるーちーず - 完結おめでとうございます！赤雪さんの書くお話が本当に大好きです(^^)あと私自身赤さんが好きなので赤青メインだったり赤メインが(中々ないのもあり)本当に嬉しかったです！本当に完結おめでとうございます。 (2020年2月10日 10時) (レス) id: ab89a0a9b9 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - かのさん» コメントありがとうございます！こういうパロディ物を書くのが好きでして…逆にベタな恋愛が書けないです…でも、そう言って頂けて嬉しいです！もうすぐ、新作を書くつもりなのでお楽しみに！ (2020年2月10日 0時) (レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
かの - 「このお話めっちゃ面白い！」と思って作者さんを見てみたらまさかの赤雪さんでした笑 やっぱり赤雪さんの書くお話が大好きです！ (2020年2月9日 23時) (レス) id: 1d7da9c448 (このIDを非表示/違反報告)
赤雪(プロフ) - 蚊さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると作品作りの励みになります！ゆり組がメインではありますが、他のメンバーも絡ませていきますので今後の展開も宜しくお願いします！無理せず、更新していきます！ (2020年2月2日 7時) (レス) id: 0a305638c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤雪
| 作成日時：2020年1月25日 13時
