かわいい ページ3
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「轟君！やったね、隣の席だよ！」
「勘弁してくれ。」
隣で満面の笑みを浮かべるのは、さっきまで背後で常時俺をかまい続けてきていたその人だった。
前から回ってきたプリントを後ろに私ながら「これで明日からも課題提出は安泰だー」とかほざいている辺り、一度くらい痛い目を見た方がいいと思う俺は心が狭いだろうか。
けれどふと、
大きな猫のストラップがついた鞄を抱きしめながら「.....ほんと、うれしいなぁ。」なんて妙にしんみり呟くものだから。
横目に彼女を見ながら、悪態を付けずにいた。
んだよそれ。らしくもない。
「まあなんだ、静かにしてるってんなら仲良くしないこともねぇかもな。」
「すごいうれしいけど。ごめん多分それ無理。」
「.....だよな。」
なんか、わかってた。
通常運転が俺の三倍スピードぐらいの彼女が静かにしている姿など、言っている俺すら想像できない。
呆れて次の言葉を失っていれば、上目づかいで見つめてきていたAが吹きだす。
「心底呆れてる顔してる轟君もかわいい。」と口角を上げて、溢れんばかりの笑顔を見せる。
ほんのり色付いた頬とか、煌めく瞳とか。
それがこれからも俺の物であるんだと思うと、まあそれで悪くない。
少し首を傾げて、黒髪が揺れた。
媚びてなんかいないくせに心に強引に入り込んでくる、それでいて不可解じゃない。
そんな仕草一つ一つがあざといと言うか、狡い。
「かわいいは褒め言葉じゃねえだろ。」
「なんで？かわいいは正義だよ。」
「目下の人間に使う言葉だろ。」
「ひねくれてるなー。だって考えても見てよ。かっこいいって思ってる異性がカッコ悪いことしてる所見たら瞬時に熱が冷めちゃうでしょ？でも可愛いって言うのはカッコ悪い部分を含めて可愛いって事だから。むしろドジってる所とか見ると、うわぁっかわいいヤバイ！ってなるでしょ。ほら正義。」
「むちゃくちゃだな。」
「なんとでもいうがいいわ。轟君が可愛いってところは譲らないから。」
頬杖をつく彼女は、何故か得意げである。
Aは何見てもとりあえず可愛いを連呼する類の女子だ。
「じゃあ俺がカッコ悪い所見せても、お前は可愛いって思う訳か？」
ふと尋ねれば、少しきょとんとした様子を見せる。
「轟君は、いつだってかっこいいじゃん。」
ストレートド直球。
今度はこっちが呆気にとられてしまって。
「....そうか。」
その一言が精いっぱいだった。
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23.4度(プロフ) - BLACKさん» コメントありがとうございます。これからシリアスに突入して二人の間にもまあ色々と起こりますのでぜひぜひよろしくお願いいたします！ (2017年9月24日 21時) (
レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
BLACK - ちょっとシリアスめがいいです！とても面白いです！これからも更新楽しみにしてます！ (2017年9月24日 17時) (レス) id: bbfe5e7001 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - 蛍さん» ご感想ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです...！ぜひ最後までお付き合い下さい (2017年9月21日 17時) (レス) id: d0946bab96 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - 見てる間めっちゃニヤニヤしてました！更新頑張って下さい！！ (2017年9月21日 10時) (レス) id: 630924d4f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：23.4度 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年9月18日 10時
