再開 ページ6
「――――――ざっけんじゃねえよクソナード！！！」
「ひぃっ」
短い悲鳴を上げるデクくんの胸倉をつかみ上げ、鬼の形相で睨み付けるかっちゃん。
確かに近所に住んではいるけれど、まさか。世間は狭い。
小学生ながらにガチャガチャとかちょこっとゲームでもやろう、と足を運んでいたゲームセンター。
リズムゲームに互いのコインを入れて、ばちを握って大興奮していただけなのに。
隣のわけわからないお客さんがうるさいとか言って怒鳴り始めたのだ。
「あのさ、その手離してよ。」
「あ"？てめぇのその高ぇ声がきんきんきんきん響いてるせーんだよ黙れクソアマ。」
「ほんっと、相変わらず。」
「んだよ知ったような口聞きやが........、おい、お前」
デク君のこと何て忘れてしまったみたいに、ぱっと手を放してこちらを凝視してくる。
目をそらさずしっかりと見つめ返せば、珍しく少し怯んだ様な表情を見せた。
三白眼をさらに見開いて、より面積を増す白目。
やっと自由になった首元を抑えながら、デク君も不安そうにこちらを見つめている。
わなわなと震える口元。
「....お前、誰だ。」
「だれって。幼馴染の顔、忘れないでよ。」
「だって、お前はあの日」
「帰ってきたの。」
「ッ！ざけんなよっ！んなわけねーだろ！」
乱暴に私の肩をつかむと衝動的な彼は強く揺さぶってくる。
そんなことをしたって私がここにいることは変わらないし、そりゃまあ心配はかけた、記憶を消さなかったことで孤独な思いをさせたのは申し訳なく思っているんだけれど。
「痛いって。」
「....んだよ、何なんだよお前。」
「えっと、その。すぐそこの高校行ってて。」
「―――死んだんじゃねぇのかよ。」
「....ごめん、死んでない。」
急に両腕の力を抜いて、弱弱しく語尾を吐き出すかっちゃん。
そこには現実を否定する自分と素直に歓迎できない自己嫌悪のようなものが入り混じって、かまい見えた。
出会いがしらこそ怒鳴りあいだったし、癇癪持ちの彼だけれど、ある意味人一倍繊細である彼の一面を思い出す。
彼もまた、私のエゴに振り回された一人であることも。
また思い出した。
興奮状態も彼の一言で静まり、三人の間には沈黙が流れた。
静まり返る私たちを包み込むのは、機械から発せられる電子音と雑音。
私たちは五年前の続きをまた、始めようとしている。
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23.4度(プロフ) - ましろんぬさん» 他も見てくださったんですか....泣ありがとうございます！ご感想本当に励みになります！ (2017年10月12日 19時) (
レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - ぼうﾆﾝさん» 遅くなり申し訳ないです！こちらでもコメントありがとうございます...!!ご感想頂き本当に嬉しいです。ついったーの方でもよろしくおねがいします！ (2017年10月12日 19時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
ましろんぬ(プロフ) - 素敵なお話ですね。他の作品も好きです。更新頑張ってください。 (2017年10月9日 0時) (レス) id: 1785f6c6df (このIDを非表示/違反報告)
ぼうﾆﾝ(プロフ) - キャラの矢印の方向やストーリーがどすとらいくすぎて感動しました泣 これからも応援しています!! Twitterでイラスト拝見させていただきましたが､小説もクオリティ高くて尊敬しちゃいます~!! (2017年10月5日 21時) (レス) id: 64374fa942 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - お気に入りありがとうございます！更新滞り気味で申し訳ないです...。この後もお付き合いいただければと思います！ (2017年9月30日 17時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：23.4度 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年9月7日 20時
