祝福 ページ4
｢...でもやっぱり良くないと思うな。その、恋人ってやっぱり大切な人なわけだし...。あっ、Aちゃんのことは助けてあげたいんだけどっ！」
慌てて弁解しようとするデクくんは、五年経った今も、やっぱり変わっていなかった。
付きまとわれてるなんて、作り話だ。
大嘘だ。
私はただデク君のことが好きなだけ。
大好きなだけ。
でもそれが絶対にかなわないとわかっているからこそ、こんなうそをついてでも確かめたいことがあるの。
純朴な彼をだますのはほんの少しだけ残った良心が痛むけれど、致し方ない。
ごめんねデクくん。
私はあなたが大好きで、あこがれていて、けれど一生一緒になんていられない。
だって普通の女の子はいきなり失踪したり、いきなり帰ってきたりしないでしょう。
「すぐそこの高校に実は四月の時点で入学してたの。...顔出すのが遅れたのはまあ、いろいろあってね。」
ちゃんと入学試験は受けた。
私の個性は消すだけであって、五年間社会から姿を消していたとはいえ、不正に入学とかそういう万能型ではないから。
「.....正直なところ僕も状況に頭がついて行ってなくて。何ていえばいいのかわからないけど、Aちゃんが困ってるのなら力にはなりたいと思う。それに―――失踪してたことについては、今じゃなくてもいい。いつか教えてほしい。」
「...うん。今度ちゃんとお話しするから。」
何も聞かない。
彼はそう言ってくれた。
私はつくづく悪い女だと思う。
そうやって私を信頼してくれる彼の甘いところに漬け込んで、依存してる。
「その、もし。ほんとに僕でいいなら....恋人役、やるよ。」
「うん。ありがとう、本当に。」
もう一回。
デクくんを抱きしめて、もしゃもしゃの頭を撫で繰り回す。
すると「ちょっ！もう子供じゃないんだから...！」と頬を少し赤らめて、恥ずかしそうにしていた。
あ....ほんと可愛いな。
「あの、そういえば。話変わっちゃうんだけどね。」
私がここに来たもう一つの目的。
「雄英高校合格、おめでとう。」
何か月も遅れちゃったけど。
やっと夢をかなえた君に、どうしても言いたかった一言。
まぶしいまぶしい彼は、すっと息を吸い込んでまた照れくさそうに言う。
「―――――ありがとう。」
(仮初だとして)
ただ、幸せだと思った。
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23.4度(プロフ) - ましろんぬさん» 他も見てくださったんですか....泣ありがとうございます！ご感想本当に励みになります！ (2017年10月12日 19時) (
レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - ぼうﾆﾝさん» 遅くなり申し訳ないです！こちらでもコメントありがとうございます...!!ご感想頂き本当に嬉しいです。ついったーの方でもよろしくおねがいします！ (2017年10月12日 19時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
ましろんぬ(プロフ) - 素敵なお話ですね。他の作品も好きです。更新頑張ってください。 (2017年10月9日 0時) (レス) id: 1785f6c6df (このIDを非表示/違反報告)
ぼうﾆﾝ(プロフ) - キャラの矢印の方向やストーリーがどすとらいくすぎて感動しました泣 これからも応援しています!! Twitterでイラスト拝見させていただきましたが､小説もクオリティ高くて尊敬しちゃいます~!! (2017年10月5日 21時) (レス) id: 64374fa942 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - お気に入りありがとうございます！更新滞り気味で申し訳ないです...。この後もお付き合いいただければと思います！ (2017年9月30日 17時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：23.4度 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年9月7日 20時
