【追憶】 ページ17
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ここは、デクくんが"恋"に落ちた場所。
「私ね！誰かを助けられるような、デクくんが憧れちゃうような凄い人になりたい！！」
幻想的な景色に囲まれて理想を描く私に、彼は確かに、惹かれていた。
当時の私にはそんなことわからなくて、心ここに在らずな彼を心配したりもしたけれど。
確かに彼は、私に魅入られていたのだ。
丁度今と同じように全てが茜色に染まった世界で、シャツを握りしめながら満面の笑みを浮かべる彼に、私もまた恋に落ちた。
これは親愛だとか敬愛だとか、そういう類とは画されたものであると、幼いながらに自覚した。
だけど。いや。
だからこそ。
全てを消し去ってしまった。
恋心もこの景色もあの感情も。
デクくんの中にある恋心を消すために、それを起因する向日葵畑の記憶もろとも葬る必要があった。
強い個性を振りかざす私に、デクくんが全貌の眼差しを向けていたことも知っていて。
きっとそれも恋心を摘み取るためには消す必要があったから、跡形も無く抹消した。
かろうじて残せたのは、家族的な意識によって保たれていた期間の記憶だけ。
彼が私を異性としてみるようになってからの出来事は、もう残っていない。
私の背後からデクくんを煌々と照らす夕日は、まるで私たちの事情何て知らん顔で、地平線に隠れて行ってしまう。
複雑な顔をする彼はいくらかのヒントを求めてくるけれど、その時点であぁ、やっぱり彼は私の事を忘れてしまっているんだなぁと思った。
「どうしても僕にはそんな記憶はないよ。」
「そっか。.......そっか。」
「何でそんな事を言うの？Aちゃん。もしかして――――君が消したの？」
「どうだろう。」
「どうだろうって何だよ。わかんないよ、そんな断片ばっかり見せられるだけじゃ。」
教えてよ。
そう問う彼に、乾いた笑みでしか答えることができなかった。
密かに期待していたからだ。
個性の力なんて打ち破って、僕は薄汚れたそんな気味でも大好きだと、どこかで言ってくれるんじゃないかと思っていた。
所詮は自己満足で。
自分で消した感情をまた戻したいなんて。
とんだ我が儘だ。
初めて生きた人間を消した日に、自分はもう後戻りができないのだと痛感させられた。
あの時腹は括った筈なのに。
また彼に愛されたくてたまらない私は、こんなところに彼を連れてきてまで、駄々をこねている。
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23.4度(プロフ) - ましろんぬさん» 他も見てくださったんですか....泣ありがとうございます！ご感想本当に励みになります！ (2017年10月12日 19時) (
レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - ぼうﾆﾝさん» 遅くなり申し訳ないです！こちらでもコメントありがとうございます...!!ご感想頂き本当に嬉しいです。ついったーの方でもよろしくおねがいします！ (2017年10月12日 19時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
ましろんぬ(プロフ) - 素敵なお話ですね。他の作品も好きです。更新頑張ってください。 (2017年10月9日 0時) (レス) id: 1785f6c6df (このIDを非表示/違反報告)
ぼうﾆﾝ(プロフ) - キャラの矢印の方向やストーリーがどすとらいくすぎて感動しました泣 これからも応援しています!! Twitterでイラスト拝見させていただきましたが､小説もクオリティ高くて尊敬しちゃいます~!! (2017年10月5日 21時) (レス) id: 64374fa942 (このIDを非表示/違反報告)
23.4度(プロフ) - お気に入りありがとうございます！更新滞り気味で申し訳ないです...。この後もお付き合いいただければと思います！ (2017年9月30日 17時) (レス) id: 8c7360ac03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：23.4度 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/aoikasou/
作成日時：2017年9月7日 20時
