秀才少女106 ページ9
「どうかしたの？轟くん」
「いや…」
口を開こうとして閉じる。
「考えられるとすれば、照列屋さんの親が2人とも無個性って事ぐらいか？懐柔でもされりゃこの超人社会に対する本当の意味での反勢力になりうるって話だ」
「え？」
びっくりした顔。流石に人様の家族事情など知る由もなく。
「でも、照列屋さんに限ってそんなことないと思うよ」
断言するように言い切った緑谷。
「…珍しいな。その様子だと緑谷には話したのか？あいつはあまり自分のことを話したがらない」
「そんなら、轟だってそうだろ？」
「俺は中学一緒だったからな。入学当時は騒がれてたからな」
半年も一緒にいるのに、お互いに知らないことが多すぎる。そのことに少しのショックを残す。
「…皆それぞれにいろんなものを抱えている。だか、それは俺たちのどうにかできる部分ではないだろう？俺たちはただ照列屋くんを信じるだけだ」
「…まどろっこしぃことはわかんねえけどよ
俺たちのやることは変わんねえだろ」
飯田、切島の言うことはもっとも。
「…なんか悪りぃ。こういう雰囲気にするつもりじゃなかったんだが…。
勘違いしないように言っとくが…
あいつの親一流企業のエリートサラリーマンだ。
入学当時、騒いでたってぇのは主にエリート勢の連中だ」
なにやら、少し勘違いがあったようだ。
つまりそれがなにを意味するかというと、個性持ちのエリート勢の嫉妬を買ったというものだった。
そして、それを実力行使で黙らせたという照列屋の武勇伝だ。
「ふふっ」
「八百万？」
「いえ、照列屋さんはああ見えてとっても負けず嫌いなんですの。刻さんらしいなと思って」
八百万の笑い声。
「…確かになぁ。爆豪と絡んでることがもう頑固だろ」
「体育祭の時の粘り強さと頑固さは昔から変わらないな」
それぞれに思い当たる節があるようで。
「事実、あいつの父親めちゃくちゃお茶目だしな」
「轟、会ったことあんのか」
「…爆豪と飯田を足して2で割ったくらいの人だった」
轟が表現をミスったわけではない。
まさにその通りの人だという。
「どういう人！？」
「もっと、想像できなくなったよ！」
「闘争心は爆豪のそれと似てるが、飯田のように場をわきまえた…と、お茶目なひとだな。たぶん」
暗かった空気が反転する。
もうすぐて神野区に着こうとしていた。
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ルッカ - 感動しました！いや〜切ないっ！特に病院で泣き叫ぶシーンが心に深く残ってます。長編お疲れ様でした！ (2018年1月27日 0時) (
レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
にゃるこ少佐(プロフ) - noirさん» 勿体無いお言葉ありがとうございます！とても嬉しいです。その言葉が次作の励みになります。また、機会があれば読んでくださいね！ (2018年1月8日 11時) (レス) id: 21caca4e2a (このIDを非表示/違反報告)
noir - 凄かったです！感動して、何回も泣きました。『心の叫び』みたいな時とそれを助けるような時が、特に感動しました。 (2018年1月7日 15時) (レス) id: 618fe150e5 (このIDを非表示/違反報告)
にゃるこ少佐(プロフ) - 緋乃さん» そんな、私には勿体無いお言葉ありがとうございます。無事完結することができました。これも影で密かに楽しみにしてくれていた皆さんのおかげです。ほんとうに、ありがとうございました！また機会があれば読んでやってください。 (2018年1月5日 9時) (レス) id: 21caca4e2a (このIDを非表示/違反報告)
緋乃(プロフ) - お疲れ様でした！最後は感動のあまり涙が出てきました…！このような作品を書けるのはとても尊敬します！次の作品お待ちしております！ (2018年1月5日 0時) (レス) id: 30e32a3a6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃるこ少佐 | 作成日時：2017年9月11日 23時
