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１話 ページ9
道に出ると栄枯盛衰の世界が広がっていた。足を止め、息を飲む。
これだけ長い道路に自動車一台、自転車一台通ってやいやしない。ニューヨークの街だというのに不自然過ぎる程に静かで、不気味な程に人っ気がない。
俺はＴ字路を左右に見回した。
よく見れば霧に隠された、アスファルトに亀裂に入った姿が目に入った。地面が様々な角度で傾いている。それが無機質の極限に見えた。
身体が震える。確信した。きっと何かあったのだ。
ここにいては危険だ。
心の奥底からそう思った。俺は逃げるように左の方へ駆けだした。足場を見て躓かないように、速く正確に進んだ。無我夢中だった。
ニューヨークの広大で最先端の世界に畏怖の念を抱かずにはいられなかった。
額の汗を拭う暇もなく、とにかく走った。何処に向かっているのかはさっぱり分からず、そしてそんな目的地を考える余裕もなかった。
２話 家→←【第１章】 別かれ ※初めての人はここから読んで下さい
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作者名：ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年4月28日 19時
