忘れてしまいそうな愛を (ページ15)

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【第２章】　男の友情ページ15

　大きなダブルベッドに俺がひとり。そんな朝を迎えた。

　隣に妻への哀愁を感じながら、枕に手を置いてしまう。誰もいなくなってから２日目の朝が来た。何かあった時のためにとパジャマは着ずにシャツとオーバーオールを着ていた。

　ベッドに座りながら靴を履く。靴紐を結び直してながら廊下に目をやる。寝室のドアは開けており、廊下が見えていた。閉めておく必要がなかったのだ。

　白のレースのカーテンからはゴールドオレンジの柔らかな朝陽が注がれていた。この朝陽を格別に感じてしまうのは、絶景だからか、それとも俺しかいないからか。

　階段を降りてリビングに行き、昨日コンビニでいただいたハンバーガーを包み紙から出す。冷蔵庫には確か日本茶のペットボトルが入っていたはずだ。

　ハンバーガーにかぶりついて、割れた窓から外の様子を伺う。相変わらず悲惨な光景が広がり、誰もそれを驚いた顔では見ていない。人がいないからだ。

　朝食を食べ、玄関に出た。絶景の朝陽が俺の顔と茶髪を照らしていた。目を細めながら周りを見渡す。今日は霧がなく、雲も少なかった。

　
　玄関に腰を降ろした。妻と息子と娘の帰りを待つことにした。

　

　帰って来るまで幾らでも待ってやろうと思った。

　愛しているから。