いろいろ魔法【ＱＫ＊短編集】 (ページ4)

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Subject ページ4

　

　

　

霞さんはそこまで考えていなかったのか、真っ赤な耳で「あ、りがとうございます」という

　
そして浮かべた照れ笑いで、俺の全てがごっそり持っていかれそうな感覚がした

　

　

ほんと無自覚なんだろうか、そんな男を持っていきそうな表情や仕草をするのは

そう思うくらい彼女の可愛い仕草や綺麗な笑顔は自然で、簡単に夢中にさせる

　

　

魔法みたいやん、なんて毎回思う

　

　
　
耳のふちまで真っ赤にして、そんな勘違いさせるような事を

　
また再び入って来たごちゃごちゃとした思惑を捨てきると、ルーズリーフを指さす
　

　
「ここ漢字間違ってんで、これ目じゃなくて日ちゃう？下のとこ」

「あ、ほんとだ。川上さんいつもありがとうございます......！」

　
　

「......いつもぉ？」と隣から黒い靄を発する須貝さんが目の端に映る

バレバレですよ、と言いそうになった口を急いで塞いで、気づいていないふりをする

　

「他漢字ミスないか見よか？」

「わ、助かります！」

　
　
霞さんはにっこり笑って礼を述べると、また真剣な顔をして書き始める

そんな真剣な彼女に対して、手助けをすると言った自分は彼女の横顔ばかりに気を取られる

　

　
さらさらと、陽が少しあたったら、彼女の髪は茶色に煌めく

　

　

そして不意に、霞さんが滑り落ちた髪を耳にかけた
　

　
　

　
　
　

　

　

　
　

綺麗な流れで、髪が耳にかかる

　

　

その仕草や、ちらりと見えた首筋に別の感情が湧き立ったのはもう恋をしているからなんだろうか

思わず反対方向に勢いよく回転いすを向ける

心臓が早鐘を打ち始める、手に持ったルーズリーフに力が入るのが判る

　

　

　

「.....反則やろ」

　

　

本当に反則だった、あんな不意にしやんでもええやん

　

　

　
そしてまた、ちらりと彼女を見る
　

　

彼女はそう俺が思っていることもつゆしらず、一生懸命書き進めている

　
照れる霞さんを見て、幾分前の自分は「こんな赤くなる？」と何食わぬ顔で思っていた

けど今は違う、たぶん自分の耳は真っ赤だ、今
　

　

　
　

　

そんな事も知らずに、一生懸命に今も書き続ける

多分一生、自分が今赤くなっているのに気づかずに
　

　
　
　