いろいろ魔法【ＱＫ＊短編集】 (ページ24)

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Subject１５　魔法　kwmr ページ24

豪雪じゃないけど、結構な量空から雪が降って来る

ロマンティックな灯りがぽつぽつと灯っているのに、こんな激しい雪浪漫の「ろ」も無い

　

これがしんしんと、ふわふわとした雪なら映えるんだろうな

よくある、冬になったら彼女が一層綺麗に見えるっていうスノーマジックもこんな状況じゃ現れないだろう

　
まあそんな事なくても、彼女は綺麗なんだけどね

　
　

　
　

「あああああ寒っ！！何この雪！ロマンティックじゃない！」

　
　

　
　

　

品がよさそうな手袋を鞄に仕舞いながら霞がやって来る

道が少し凍ってきているのに、彼女はヒールの靴で器用に歩いてくる

　

　

　
　

「折角髪上手く巻けたのに............雪の所為でちょっと崩れた.....」

「..........寝癖かと」

「はああ？！そんな訳！！」

　

　
　

　

霞は僕の鳩尾にパンチを炸裂させると、何処か物足りない顔で目を見据える

　
　
　

　

　

「寒い中待っててくれたんですか。放って行っても追いついたのに」

　

　

元陸上部ですから、と胸を張る彼女が愛おしくて、口が緩む

　
　

「そんなに待ってないですよ」

「何分ですか」

「三十分くらいですかねえ」

　

　
　

絶対髪巻いたせいだ！ごめんなさい！！と今度はやけに素直に謝罪する

少し歪にカールした髪が、謝罪のお辞儀で肩からさらさらと滑り落ちた

　

「顔上げて、霞」

「ごめんなさい、寒い中」

「いやいいから。もう」

　

　

霞が渋々顔を上げる

そして僕のコートに付いた雪を優しく掃う

　

　
　

　
　
　

　
　
　

　
　

　
「四周年記念日くらい、遅刻しないで来たかったなあ........」

　

　

　
　

そう言ってふにゃりと笑う

いつしか雪は、やっとロマンティックのロマンティくらいまでの降り方になっていた

　
　
街灯が、寒い夜の街に映える

　
　

　
　

　
　

「四年目も宜しくお願いします」

「こちらこそ。これから末永く宜しくお願いします」

　

　

　
　

　

そう言って、綺麗な小さい箱を開ける

　
　

　
　
　
　

　
　

　
一種の宝石が、街灯の光を受けて光輝いた

　

　
　