いろいろ魔法【ＱＫ＊短編集】 (ページ20)

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Subject ページ20

　

　
　
　

　
　

　
　
　
　

だから適当な答えを言って、本当じゃない答えを言って、俺を安心させてほしかった

嘘だとわかっていながらも、安心するから

　

じゃあ訊く必要ないじゃん、嘘なら

っていうか何で俺訊いたんだろう

　

あー、もう、分かんなくなってきた

　
　

　
　
　

　
　
「理由、ですか」

　
　

　

　
　

　
　
　

俺の内心に同情するように、困った声で霞ちゃんが言う

ごめん、何でもない、って言おうとしても口はからからに乾ききっていた

今から理由が言われるんだ、っていう緊張と、後悔と、その他の何かで

　

　
　

　
　

「でも、そんなこと言ったら失礼かと...........」

　
　
　

　

しゅん、と俯く霞ちゃんが可愛らしくて「良いよ、別に」と裏返った本音がぽろりと出る

彼女は疑わしそうな、何処か切なそうな眼で俺を見据える

そんなに目が合ったことが無いせいか、耐性が付いていない俺はすぐに真っ赤になるのが判る

　

　

　
　

　
　

　
　

「最近、構ってくれなくて、嫉妬させたくって.........その..ごめんなさい」

　

　
　
　

　
　

　

相手の名前を言わない

けど俺には分かる、と言うかその人しかいなかった

　
　

　
「ふぅん」

「ごめんなさい、迷惑をおかけして......でも、その.....」

「良いよ別に、言わなくたって。お腹すいたし行こ！！」

　
　
　
　
　

　
悔しくて目がぼやけ、鼻がつんと傷むのを無視して空元気に言う

一刻も早く、霞ちゃんに背を向けたかった

　

　
　
　
　
「な、何食べますか！」

「タピオカ並ぶ！！二時間だって何時間だって！！待つ！！！」

　

　
　
霞ちゃんは急にスピードを上げて歩き出した俺に慌ててついてくる

俺は顔を見られないように、常霞ちゃんより三歩多く前を歩く

　
　

　

タピオカの二時間くらいなんて、朝飯前だ、もう

夏並んだときは日射病になるかと思うくらいの暑さで苦だったけど

　
　

　
　
　
けど、今は

　
　

　
　

　

　

　
何時間だって待ってやる、何日も、何カ月も

　

　
　

　

　

　
　
　

霞ちゃんが振り向くまで、待つんだ

　

　
この苦い恋に耐えるんだ、俺は
　
　
　

　

　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　