喧嘩するほど仲が良いって訳じゃない 【ＱＫ】

６％　先輩後輩は笑えない ページ6

　
　
　

　
　

　
　
　
　
　
　


このまま走れば十五時半には着く

あの後急いでオムライスを食べ、奈央と駅まで走って電車に駆け込み乗車し、駅員と乗客のヘイトを買って家まで走って、お風呂に入って、着替えて、またメイクをして、今、また走っている



　

あーあなんでローヒール履いてきたんだろう、こんなに走るんだったらヒール無し履いてこればよかった




　
打ち付けられるたびに踵が痛む

しかもこれ買って二回くらいしか履いていない実質新品、もう靴擦れも目前だ



　
　

　
　
　
　

　
　

　
　
　
　


　
そんなこんなでオフィスのドアを半場乱暴に開け、言われた通りに撮影部屋に入る


　
　
　


あーあ、珍しく綺麗に巻けた前髪も元の通りに戻っているんだろうな
　

何で本当にこんな日に限って綺麗に巻けるんだろう、恨めしい









　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　

　

　
　
「遅れてすいません、で、今日って何を―――――――――――――――」



　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　

するんですか、と訊ねようと思った矢先、目に映る







　
　
　
　
　
「Aさん.............？！」


「山本せんぱ.........山本さん？？？！！」





　
　
　
　
　

　
刹那、双方の眼が合う

そしてよく分からないまま二人して固まっていると、不意に後ろのドアの鍵かけられる音がした








　
　
　

「Aさんも今日十五時に来いって言われ――――――――」


「ちょちょちょちょっと今閉められませんでした？」





　
　
　
またどうせ文句なんだろう、と見込んで山本先輩を無視して扉に駆け寄る

ドアノブを捻っても開かない、いつからこんな外から閉められるような仕様に替えたんだろう


　

　
　

　
「開かない......」
　


　
　
　

　
　
　

仕方なく諦めてソファに腰かける

何でこの撮影部屋はソファが一個しかないんだろう







　
　
　


「【山本、河村、漢検一級脱出サバイバル】........これだけ見ると河村さんとするのかと思ってたけど、まさか――――――――」




　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
こんな開かない状況がどうでもいいのか、山本さんは白い紙に書かれた紙から目を離し、私を見据える









　
　
　
　
　
　


　
　
「君だったとはね、河村Aさん」






　
　
　

　

　

　
　

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