23% 思いは伝えるもの ページ23
side ymmt
==
「風邪、引きますよ」
前髪を伝って落ちてきた雫を拭って、深いため息を吐く
その溜息の原因が九割、というか全部自分だと見せつけるような溜息だった
「別に大丈夫。これ以上時間かかるとAさんが風邪ひくから、早めに伝えるね」
慣れっこになった刺すような視線で「なんでしょう」と小さく呟く
「Aさんと、関係を切ろうと思って」
雨が大粒に変わってゆく
アスファルトに強く雨粒が打ち付けて、電光下の自分を映す
「は.......?」
「ごめん、説明不足で。距離を置こうかなって考えていたんだけど、どうにも成功出来なさそうで」
Aさんが呆れたような表情で「はぁ」と気の抜けた相槌を打つ
「だから、Aさんがオフィスに来る日あるじゃん。ほらライター集会的なので」
「ありますけど」
「Aさんがオフィスに居る時は、僕がオフィスに居ない。反対も然り」
靴下が段々雨に侵されていって、気持ち悪い感触が自分を襲う
しかも雨段々強くなってるし、さっさと切り上げないと
「そうしたら、お互い顔合わせなくて済むから、Aさんも困らないかなって」
彼女の眼がじっと自分を捉えると「それが、さっき言った関係を切るってことですか」と呟く
「そうだよ。会わないようにするから。どうしても顔合わせの時は誰かを介して伝えてもらうつもり」
「そうですか」
「ごめん、それが言いたくって。文章じゃ固いし、伝わらなさそうだったから」
「もういいですか?」とAさんが頬に伝った雨水を拭う
拭ってももう無駄なほど、自分もAさんも雨に溺れている
靴下はもう冠水に遭ったのか疑いたくなるほど、全て雑巾みたいに濡れていた
「じゃぁお暇しますね。また」
そう言うとAさんは、激雨のなか走って帰っていく
これで、良かったんだよな、全部
180人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
河村 - いやリアルに河村って名字でQKもの見る時kwmrさんと被るから山田にしてたのに本名にされてうぉってびびりました。笑 まだまだ読めてないのではやくつづきよーもおっと! (2020年5月5日 5時) (レス) id: 358de66ca1 (このIDを非表示/違反報告)
hero(プロフ) - こんにちは!いつも楽しく拝見させて頂いてます……!これから二人の関係がどう行ったものなのか、どのように進展していくのか楽しみです!素敵なお話待ってます*^^*因みにfkrさんsgiさん推しのymmtさんモンペです笑 (2020年4月30日 23時) (レス) id: 5e1ffe3b19 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:秒速6m | 作成日時:2020年4月22日 18時