喧嘩するほど仲が良いって訳じゃない 【ＱＫ】

２１％　思いは叫ぶもの ページ21

　
　
　
　
　
　

　

やられた、雨だ

降水確率午後七時から50％だから、ぎりぎり降らないって信じてたのに



　
　

革靴履いてきていなかっただけでセーフにしておこう


革靴は雨にあたると傷付いてしまう、学生の頃何度買い替えたか






　
　
　
　

　

￣早稲田高等のところまでおいで

￣山本が伝えたいことあるって


　







　

久々に紗季からのLine

最近は院での研究が忙しいとか言って中々会えなかったから、彼女からのLineはとてもうれしかったのに、その文に入っていた二文字で幻滅した




　


山本




　
なんで山本さん態々会って伝えたいなんて言うんだろう

この世の中、ラインやら何やら各種SNSがある便利な世の中なのに


しかもこんな雨の日に呼び出すなんて、しかも人の手を使って








　
そんなに、何が言いたいんだろう








　
山本さんが人を使って呼び出した事より、内容が気になって仕方がない



　


　
珍しい、態々「伝えたい」なんて前置きを置いて言うなんて









　

　
　
　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　

いつも降りていた駅に着いて、改札を走って潜り抜ける


　
「スリップ注意！」と書いてある看板なんかもう知らない、雨漏り注意と書いてある煉瓦張りの床を飛び越えて走る





　

　
50％なら、半々だから良い方に転べばよかったのに

何でこういう大事な時はいっつも雨なんだろう




　
先輩が卒部する、ラストランの日だって雨だったし


その所為で雨に濡れたトラックで走って滑って転んで山本さんに茶々言われたっけ





　

　
　

　

　

懐かしい見慣れた校門にが見える

雨で曇っているから、月明かりなんてあるわけもなく、街灯だけがぼんやり道を照らしていた









　
　
　
　
　
　
　
　

　

　
　

今日は偶々休みだったのか、閉じ切った門の前で傘もささず立っている人









　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
「.........山本さん」



「あ、Aさん。ごめんね」









　
　

また、ごめんって









　

「どうしたんですか、こんな雨の中」



「いや、ちょっと久々に春野に会ってね」



　
　
　


　

春野―――――――紗季

会ってたんだ、紗季と




　


「へぇ〜。紗季元気そうでしたか？」


「春野？全然元気だったよ。全く変わらなかった」



「......それはよかった」


　
　
　





　
　
　

　

なんでどこか、心のささくれが触れてくるんだろう







　
　
　

　
　
　


　

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