喧嘩するほど仲が良いって訳じゃない 【ＱＫ】

１４％　心の溝は埋まらない ページ14

　
side ymmt



　
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何も無いように普通に解こうと机に向かうも、隣のAさんが気になって目を向けてしまう

微動だにしない彼女の手、握られずに置かれている鉛筆







　



　
　
　
　
　

　

ごめん、Aさん



　
　
　
　
　





　

　
　
　
　


　




それしか、僕に言う事は出来なかった

出来なかった、というか、出来ない







　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　


　
　
　


　
　
　
それくらいしか、言えない―――――――――――――――――――









　
　
　
　
　
　
　
　
　


　

「採点終わりました〜〜〜〜〜〜〜」




　
外から声がして、ガチャリと扉が開く









　
　


「二人とも全問正解って凄いね、協力連帯プレー？」



　
にこにこした福良さんが紙を持って言う

　
　
　
　
　
　
　



Aさんは静かに笑って「いえ、山本さんのお陰です」と呟いた




　

　
　
　


　

「山本のお陰？」


「はい、色々気遣って下さって」





　
　
そう言うと、いつ見つけたのか隠しカメラに向かって手を振る


そしてそのまま、福良さんの脇をすり抜けてオフィスの核へと出て行った








　
　
　

　
　
　
　
　
　
　
　

「.......どうだった、山本」






　
　
出て行ってしまったAさんの背中を目で見送ると、僕の方に向き直る

その目は何とも言えない色を湛えていた





　

　

　
　
　
　
　



福良さんは、たぶん僕とAさんの仲を直そうと思って企画したんだろうな








　
　
　
　
　

　

「楽しかったです！勉強になりましたし.........」





　

　
　
　
　
　
　

　

無理だよ、福良さん

僕とAさんの仲を直そうなんて、無駄骨になるだけ








　

　

　
　
　
「そっかぁ.......」







　
　
　

そう言うと福良さんは「じゃあお疲れ。明日も撮影宜しくね」と言ってオフィスの核へ戻って行く

自分はと言うと、全くその場から動けなかった






　

何でみんな、埋まらない溝を埋めようとするんだろう




　

　


　
Aさんと解いているときに聞こえた、伊沢さんと乾が何とか直そうと案を出し合う声




　
　

　
　
　
　

　
　
　
　

　

　


無駄なだけですよ、伊沢さん、乾さん









　

　
　
　
　
　
　

　
　
　

そんなので埋まるほど、浅いものじゃないんだ






　
　

　

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