【ωrωrd!】サロメの盲愛【短編集】 (ページ5)

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彼女に初めて出逢ったのは、多分小学六年生のときだった。いや、五年生の時だったかな。もしかしたら、四年生の終わりの冬だったかもしれない。
出逢いはwebサイトの中にあった。今となっては寂れたインターネット老人か、初めてスマートフォンを買って貰った幼気なクソ餓鬼しかいないしょうもないオワコンみたいな場所だが、曾てはそれなりに盛り上がっていたと思う。今で言う青い鳥だとか、虹色のカメラだとかそんなものをキッズが使う時代じゃなかった。小学生がiPhoneProMaxをぶら下げてるような今の時代とは違う。いいか？僕たちにSIMカードなんてものはない。2万のAndroidスマートフォンはぼくの手に渡る頃には五年目の大往生目前を迎えていたし、どうしてもと願って入れてもらったパズー＆ドラーは一年半必死に奮闘した結果虚しく死んだ。中学１年生の夏にぷつりと電源がおちてからというもの一度も動かない。タブレットで必死に強制再起動の方法を調べて、どうにか生き返ってくれと愛用の短機関銃を想うような気持ちで祈ったが、駄目だった。三回目のバイブ音の後にメーカーのロゴが映ったかと思うとよく分からないシステムエラーのマークが出て、その後に死んだ。埋葬はしなかった。きっと今も、実家の押し入れのいちばん奥でささやかな思い出になっているのだろう。
閑話休題。これはぼくの話ではなくて、ぼくと彼女の話だ。
言葉の意味が分からなかったら是非調べて欲しい。僕は昔自作小説を書く時に意味もわからず格好良いからという気持ちで難しい言葉を沢山使って、コメント欄で恥ずかしい思いをした。未だにクールで知的な雰囲気がある人が書く文章の中で、僕も知っているようなちっぽけな言葉の誤りを見つけると心の中で嬉しい気持ちになる。笑ってくれるな。僕だって知っている。そういう僕自身が、いちばんちっぽけであることを。
失礼。これもまた蛇足だ。たった今ぼくのくだらない無駄話のせいでぼくの言葉も謝りになるところだった。それじゃあ、つまんないぼくの話の続きをしよう。

彼女との出逢いは運命だった。
パンを咥えて走る住宅街の街角でぶつかることに比べたら大したことのない運命だったかもしれないけれど、僕にとっては衝撃だったのだ。
そう、云うならば――おそらくあれは一目惚れである。

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