【ωrωrd!】サロメの盲愛【短編集】 (ページ20)

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Failed!/tn ペロページ20

死のうと思って海にまで行ったら、なぜか友人がついて来た。今度こそ一緒に死んでくれるのかと期待していたがそういうわけではないようだった。服が濡れるのも厭わず海に入る。波に足を取られながら果敢に沖に向かうのをトントンはただ見ているだけだった。
　
　一際大きい波が、遠くからこちらにやってくる。ああ、と思っているうちにざぶんと頭から飲み込まれた。塩辛さなんて感じられる余裕もない。
　
　誰かが私の胸ぐらを掴んで、そのまま持ち上げた。水中から解放された途端に、肺に空気を取り込もうと一気に息を吸い込む。そのせいで咽せている間にも、トントンは私の胸ぐらを掴んだまま浜辺に向かって歩く。ほとんど引きずっているけどそんなことは気にも留めず、浜にたどり着いた。投げ捨てるみたいに手を離して私を見下ろす。海水が目に染みたのか、眉間に皺寄せていた。ポタ、と私の顔にしずくが落ちてくる。生ぬるいそれに思わず、泣いているのかと思いトントンの顔に目を凝らした。
　
「帰るで」
　
　彼は頭痛を堪えるような表情をしていた。それだけでは、泣いているのかどうか判別はつけられない。結局、髪から滴り落ちたしずくだと思うことにした。
　
　トントンは私の返事も待たずに道路へ上がる階段に向かっていた。置いていかれまいと、濡れた足を砂に塗れさせながら走る。夜の夏の砂浜は、冷たくて、月の光の下に白く輝いていた。

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