999本の赤い薔薇【ky】 (ページ37)

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episode 68 ページ37

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昔はこの“行為”が嫌いだった。
何が良いのかもわからなかったし、ただ男の欲を満たすためじゃないか、と。

だから最初キヨくんとする時は正直躊躇った。
でもキヨくんが教えてくれたんだ。
優しく肌が触れ合う心地良さや、触れ合うことで愛情を伝えられること。

キヨくんが全部、教えてくれた。

「どした？」

久しぶりの行為で思ったよりも盛り上がってしまい、力なくソファにもたれかかる私にキヨくんは水を差し出す。
隣に座ったキヨくんは優しく私の髪を撫でた。

『何もない、キヨくんが好きやなって。思っただけ』

「ふっ、何それ。俺も、Aが好き」

『…陽葵が生まれてからも、ちゅう、とかしてくれるん、嬉しい』

「もうまじで急にどうした？確かに親にはなったけどさ…一生Aは俺の好きな人だから」

よく母親になった奥さんを女として見れなくなって浮気をしたり、レスになったりすると聞く。
キヨくんもそうだったらどうしよう、と思ったことも勿論あった。

実際はそんなことなくて、いつまでも私に愛をくれる旦那様だ。

『ずっと一緒におってね』

「あたりめえだろ、Aがどんだけしわくちゃなおばーちゃんになっても愛す」

そう言って笑った後、キヨくんは私を抱き上げてそのまま寝室へと向かう。
寝室では陽葵がすやすやと眠っていて、その寝顔はキヨくんにそっくり。

キヨくんと少し長めのおやすみのキスを交わして私達は眠りについた。

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