999本の赤い薔薇【ky】 (ページ24)

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episode 55 ページ24

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妊娠中に音楽を聴かせたりするといいと聞いたことがある。
生憎、私はクラシックは聴かないから代わりにこの人に頼ることにしてみた。

天「キヨに怒られそー」

『ちゃんと言うてきたから大丈夫ー、もうかなり安定してきてるし平気やって』

天「まあなんかあったらすぐ言ってよ？」

親友である天月がスタジオに行くと嗅ぎつけた私はお邪魔することにした。

天月の声は好きだ。
どんな歌でも彼の歌には感情がこもっているし、何よりも優しい声が良いと思う。

まあキヨくんが一番好きだけど、キヨくんは恥ずかしがって本気では歌ってくれないから。

妊娠6ヶ月を過ぎたお腹は大きくなってきていて、重みだって感じる。
その重みはきっと命の重さと同じで私の体の中で一生懸命生きてるという証。

『ママの親友が歌ってるの、いいやろ？』

なんてお腹を撫でながら愛しい我が子に問いかける。
天月の優しくて甘い声が響く中、お腹がポコポコと動いた気がしてどこか嬉しくなった。

天「暇じゃない？大丈夫？」

『大丈夫～さっき天月歌ってる時お腹蹴ってたわ、この子』

天「まじで？えー、それは嬉しい」

『やっぱ伝わるもんやなあ』

1時間ほど天月のスタジオにいるとキヨくんから迎えに行くと連絡が入る。
キヨくんがこのことを聞いたら嫉妬してしまうに違いない。

だけどどこか誇らしくて嬉しくて、私の頬は緩みっぱなしだ。

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