この世界の主人公は。《Ren.N》

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だんだんと盛り上がり始めるお祭りの気配


私はサンダルを履いて家を飛び出した。




すると家の前には廉がいて
私に気づくと手を軽くあげた




「ここにいるってことは…廉も、行くんだよね？」





私がそう尋ねると
廉はこくんと頷いた




「じゃあ一緒に行こ！！」




私の髪が風になびいて
お気に入りのシャンプーの匂いが舞った


廉が立ち止まるから
私は廉の方を振り返る



廉の瞳が揺れて

私の心も揺れて




喉のところまで、湧き上がる感情が少し痛い




「廉…？」


私が立ち止まる廉に歩み寄ると

廉との距離が近づいて




熱くて熱くて

こんな気持ち知らない


小さい島で、小さい町で、決まった人達としか過ごしてないから

こんな気持ちを、説明する言葉なんて



私は持っていない






「行こっか」




廉はどこか吹っ切れたような笑顔を向け
私を追い越し歩いていった



離れていくことが怖くて

この背中にどこか見覚えがある気がして



私は必死に追いかけた



もう離れちゃいけない


そう心のどこかで叫んでいる自分がいた






．







お祭り会場に着くと
ちょうどみんなのバンドの番で



いつも以上に煌めくみんなが
ステージの上に立っていた





「みんな、かっこええな」




廉がそう、透き通る声で呟いたから

私はブンブンと頷いた




「みんな、いつもは馬鹿だけど
こういうときはすんごい素敵なの。


廉にもそれを分かって欲しかったんだ。」




「知ってるよ、
みんながカッコいいことも、優しいことも、アホで間抜けなとこも。」




「え…？」





廉はみんなの姿を見ながら微笑んだ









「廉……


廉は何か知ってるの？」









騒がしい歓声にかき消され

私の声は宙に消えた





廉は、不思議だ。

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