． ページ15
．
「あぁ、その曲なら今度やるで」
「へ？！ほんと？？」
「声の色が蜜のようにーってやつじゃない？」
廉がサビのワンフレーズを口にした
至福のときが流れるあのサビを
目の前の彼はひょうひょうとした顔で謳いあげた
「そう、だけど…」
「俺のアコギと紫耀の歌だけで」
「それいつ？？私も見に行ける？」
「もちろん。来月末かな」
廉は嬉しそうに笑った
「やばい、すごく楽しみ」
「またタイムテーブル出たら写メ送るわ」
「うん、ありがとう！」
ちょうど、電車のアナウンスが流れた
廉と私は逆の路線らしい。
「じゃあ私はここで」
「うん、雨降りそうやし気ぃつけてな」
「今日はありがとう」
「こちらこそ」
それ以上なく、私たちは手を振り別れた
普段乗らない電車は私に少し冷たかった
なんの名残もなく、廉と私を離すためにドアはピシャリと今閉まる
あちら側のホームに立つ廉は
今何を思っているんだろう。
震えるスマホで私は 少し無敵な気持ちになれたんだ
廉今日はありがとう。さっき言ってたバンドのライブ、一緒にどう?
私は座っていた席から首を回し廉を探した
どこで廉は、私にそのメッセージを送ったのだろうか
もう廉も、電車に乗り込んでしまったのだろうか
Aこちらこそご馳走様でした。ぜひ行きたいな
急いで返信を打つ
直ぐにつく既読と、走り出した電車
私たちは繋がっていた気がした
好きだとか付き合うとかそういうことじゃない
私たちにいま、そんなことは必要がなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1658人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なるみ(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいております。エンドロールのパスワードを教えていただきたいです！ (2023年4月14日 12時) (
レス) @page35 id: a37fb134db (このIDを非表示/違反報告)
霞草(プロフ) - 椿さん» コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いします○|￣|＿ (2019年11月6日 0時) (レス) id: 402b5f83f6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 霞草さんのお話めちゃめちゃ大好きで読んでます！今回もすっごい面白かったです！！ (2019年11月3日 8時) (レス) id: e0292a59d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霞草
| 作成日時：2019年10月15日 11時
