コーヒーを、ひとつ。 [ Sato Shori ]

珈琲 41 ページ41

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その日、家まで送ってくれた。

いつも1人で歩く道

それか、聡やマリと歩く道



そんな見慣れた風景のはずなのに


勝利がいると

全部が変わって見える。




優しそうなおじいちゃんが住んでる古いおうち。


その隣にあるカメラ屋さん。


少し行ったところに聡のお気に入りクッキーが売ってるお菓子屋さん





その角を曲がると、私の家の並びがあって



いつもはここまで来るとやっと家か、って思うんだけど



今日はほんのり寂しい。





「もう着いちゃうな」




「ん。楽しかったね、今日」




勝利は寂しいとか思わないのかな。

思わないんだろうな。




勝利のぽーっとしながら歩く姿を見て思う




いつか、彼女として隣に並べるのかな。




それはどんな人だったらいいのかな






「A？着いたよ」




「あ、ごめんぼーっとしてた」



考え事してたら家を通り過ぎてたみたい。




「ほんと、Aって抜けてる」


ふふふって笑う




「ちょっとバカにしてるでしょ？」



「え？してないしてない」



って言うわりに、ニタニタと笑ってる。



絶対バカにしてるわ。





「もういいもん、私帰る」




「はいはい。気をつけてね」




「気をつけても何も、私の家だし」




「…あ、そうか」




「勝利も抜けてんじゃん！」




そう言ってやり返しにニタニタ顔で見返すと


私の頬をぎゅっと掴んで引っ張って





「バカは黙ってろ」





強め口調の勝利がまた出ました。


涼しい目が余計に胸アツ…





「わ、わかったから…！」




「ん。じゃね。帰るわ」




ひらひら、と手を振って

勝利は歩いていった。




その背中にまた、ビームを送る


そろそろ気づいてくれませんか？

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