コーヒーを、ひとつ。 [ Sato Shori ]

珈琲 38 ページ38

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ついにやってきた週末



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家どこ？迎えにいく


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前日のそんなメールに心躍る私

あと少しで勝利が来る。




玄関の鏡の前で

服を整え、髪を指でくるくる、とした。



映画デートにぴったりな

シックな花柄のワンピース。


裾が長めでひらひら、と風になびくのが私のお気に入りなの。



「あらA、そんなちっさなカバンで大丈夫なの？」


私のコロンとした形のバッグを見てお母さんがそう言う。



「大丈夫だよ、特に何もいらないし」




「そう？沙織ちゃんによろしくね」




「え？沙織？」





お母さん、沙織と遊びに行くと思い込んでるのか…？





ちょうどその時、家のチャイムが鳴った。




勝利だ。勝利が来た。



お母さんがはいはーい、とインターホンを見に行く。


「いいって！私の知り合いだから！でなくて大丈夫！」



そう言った頃には、もう遅く。


「ちょっと…あんた…

こんなイケメンとどこで出会ったの？！なに？御付き合いしてるなら教えてよ！！」



きゃーっと騒ぐお母さん。





「別に付き合ってるとかじゃないから…。

もう行くから！行ってきます！！」







何か言いたげなお母さんをほおっておいて


私は勝利のもとへ、赤い靴を履いて家を飛び出した。





「おはよ」



そう言って、いつもの笑顔が朝日に照らされる。


シンプルな紺のシャツに黒いパンツ


いつも通り勝利で、胸が熱くなる。





「来てくれてありがとう…！」




「ううん。髪、かわいい」



そう言って私の胸元まである巻いた髪をつまんだ。



持ち上げて、ひょい、と落とす。




そしてふふふっと笑った




「くるくるだ」





朝から可愛すぎやしませんか？





「行こっか」




ケロッとした顔で歩き出す

私の胸は勝手に熱くなったまま





2人の日曜が始まる。

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