コーヒーを、ひとつ。 [ Sato Shori ]

珈琲 31 ページ31

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それから1週間すぎ

また、木曜日がやってきた。




もう、このシフト入るのやめちゃおうかな。



考えたくなくても

考えてしまうし。





「健人さん」



「ん？」



「私、もうこのシフト入るのやめちゃおうかなって…」



「えっ、どうして？？」



「真希ちゃんとあともう一人いるし、人も足りてるでしょ？

私のこと、勝利に会わせてくれるために入れてくれてたんですよね？」




健人さんは髪をくしゃくしゃっとして

ふぅ、と息を吐いた




健人さんが言う、傷つけちゃわないといいんだけどっていうのは


こういうことなんだよね。


ほんとは勝利に彼女がいるって知ってて

健人さんはできる限り好きになる手前で終われ！と思ってくれてたんだよね？



でも、私、

とっくに好きだったんだよ




もう後戻りしたくないほどに

好きだったんだよ




「勝利、彼女、いるんですよね…

私聞いたんです、女の子と一緒にいたって。」




「え…？」



「だから、もう、やめちゃおうって！

シフトも入らなくなったら会わなくなるだろうし、

もう……」








「勝利に彼女…？」




驚いた顔で固まる健人さん


え、知らなかったの？




「あいつ……彼女いないはずだよ？」




「え？それってどういう…」






そのとき、カランカランとなつかしい音が響き



振り向いてカフェの玄関を見ると






「……勝利、？」





少し息を切らして、その髪は無造作に跳ねている



走ってきたのかな…？


ってそれよりも





「その腕どうした？」




健人さんが私の気持ちを代弁するかのようにそう言った。

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