コーヒーを、ひとつ。 [ Sato Shori ]

珈琲 29 ページ29

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目覚ましよりも早く起きて、目覚ましが鳴るのを止める



そしてもう一度布団に入る



柔らかくって暖かくって


起きなくていい休日の二度寝ほど素晴らしいものはない。





カーテンからのぞく外を見ると雨が降っていて



あぁ、もう梅雨か、と思う。





雨の日、髪を少し濡らして

手で抑えながら少し憂鬱そうに呟く珈琲を頼む声




帰り際の傘を差す時の背中




もう、やだ。


気づけば考えちゃう。






「おはよ〜…」




ぼーっとしながら下に降りると


お母さんが忙しく掃除機をかけながら




「おはよう、休日だからって寝坊助ね〜。」





「いいの〜、バイト休みだし」



そう答えると


お母さんが掃除機のスイッチを落とし、




ソファに腰を下ろす私を見た。




「なに…？」






「聡ちゃんが謝っといてくださいとか言ってたけど、

なんかあったの？」




聡…気にしてたんだ…




「別に何も無いよ、いつもの痴話喧嘩」




「ふーん、ならいいんだけどね？

聡ちゃんいい子なんだし、変に迷惑かけちゃダメよ」




もう一度スイッチをいれて

掃除機をかけ出すお母さん。





迷惑かけられてんのはこっちだっつーの！




いいよ、べつに

聡が悪いわけじゃない。

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