コーヒーを、ひとつ。 [ Sato Shori ]

珈琲 2 ページ2

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ザァーザァーと降り注ぐ雨の中


私は赤い傘を差し校門を飛び出した。






7時間もあった木曜日はただでさえ鬱陶しいのに


雨だなんて、嫌になっちゃうな。







でもね、


そんな気分が吹き飛んじゃうくらいの幸せが




私には待ってる。








「今日も1日、よろしくお願いします！」




「「「お願いしまーす」」」




キッチンに挨拶をして、


いつも通りカウンター前に立つ。






私は高1の春からバイトを始め、


2年の夏になった今、一個下の後輩まで出来て

わりとベテランの部類に入る。






「Aちゃんこれ3番席ね」





「はい！」





「今日もいい返事。」





ニコッと笑ってくれたのは


若くして店長の中島健人さん。



優しくて、皆のまとめ役で、


よくみんなを遊びに連れてってくれたりする。





「あ、今年の夏も空けとけよ？また海行くからな！」




ほら、そう来なくっちゃ！




私は笑顔で頷いて


3番席のお客様にミルクティーと抹茶ケーキを届けに行った。





そして、あの時間がやってきた。

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