ラストホリデー ページ4
．
夕焼けが 街にひろがる中
私はまたあのアパートへと向かう
もう少しで冬がはじまる
高校指定の白いカーディガンで冷めた指を包む
高校の最寄り駅から5駅
私の家の駅を通り越して
ワンマン電車は 今日も数人だけ乗せて進む
ICカードをかざし
目的の駅で降りる
この駅は改札なんてなくて
セキュリティ一とか、そんなもの
一切ないし。個人個人を信用し過ぎ。
そんなふうに危なくて、だけどとても優しい駅。
電話番号も知らないし
メールアドレスもしらないから
親に頼んで買ってもらった
新しい機種の携帯なんて用無しで
私は履きなれたローファーで
彼の住む 古いアパートを目指す
そして見つける、白の長Ｔシャツと男物の下着
ゆらゆら、ひらひらと揺れる靴下が2組
その裏へ回り、階段をふたつ、上る
ギシギシと軋むから、地震とか来たら
彼は閉じ込められるんじゃないかな。とか不謹慎ながらおもう
それなら私も一緒に ここに閉じこめられてしまえばいい
またもや不謹慎ながら、おもう
チャイムなんてなくて
ドアをコンコン、と叩く
表札の消えかけた 高橋を眺める
ふと思いつき マジックを取り出して
高 に二重線を引き
�� と、書き直す
唯一 私が彼をちゃんと知る理由を
ここなんかで披露してみる
「A？」
気がつけばドアが開いていて
くるくるとした黒い髪がきらきらしてる瞳の上でとまってる
「なにしてんの」
わはは、と優しく笑って
私の手元を見た。今書いたばかりの文字をなぞって
「ありがと、」
と、目を細めて私を見つめた
私の大好きな金曜日がいま始まって
いま、おわりまでのカウントダウンをスタート
はじまるのは怖い
おわりが必ずあるのが目に見えるから怖い
いっそ始まらなければ
おわりは来ない
だけどそんな強くはなれないから
私はいつもこうやって
のこのこと、会いに来ちゃうの。
おわりが来てもいいから
私は 彼に会いに来るの。
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霞草(プロフ) - aimiさん» コメント頂けて嬉しいです。久しぶりになにか執筆したいなぁと思ってます！ (2021年10月10日 1時) (
レス) id: cf24c8e438 (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - あと、燃える心に駆け抜けろの続編が読みたいです。よろしくお願いいたします (2021年10月6日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 私、こういう感じの作品初めて見ました‼️また、書いていただけると嬉しいです‼️ (2021年10月6日 20時) (レス) @page37 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
すばりてちゃん - あぁ、やっぱり作者様が紡ぐお話はエモすぎる、と心より思います。いつか私も、作者様のように人を動かせるような言葉を紡げたらと憧れました。陰ながら応援しております。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: 9aa5aa9bdc (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 岸くんのストーリー好きです。続編で長編とかも書いてもらいたいです。また、廉くんのストーリーも、番外編でも良いので、ハッピーエンドになるようなお話が読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年3月24日 7時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞草
| 作成日時：2019年3月19日 0時
