･ ページ19
．
紫耀くんに腕をひかれたまま
階段をしぶしぶ降りる。
ほんとに神様がいるのなら教えてください。
私はどうして、こんなにも惨めなの？
どうしてこんなに、お馬鹿なの？
どうしてこんなに、不自由なの？
「お前さ、」
ほら、目の前のこいつは
私の名前さえ呼ぼうとしない。
嫌々 私を扱ってるのだと
目に見える態度。
「ひとに迷惑かけんなよ」
鋭く 私を睨む 紫耀くん
だまれ。だまれ、だまれ。
光のナイフが私の心臓を貫いて
いま、血が溢れていく
そんなこと私が1番 分かってるんだ
「……うるさい、」
精一杯の口答えを
彼は 舌打ちで返してきた
紫耀くんに何がわかるんだ
私たちずっと一緒にいたはずなのに
こんなにもちがうんだ
神様はやっぱり 不公平なんだ
「こっちの身にもなれ」
そう吐き捨てて
紫耀くんは教室のドアを開けた
みんな一斉に 私たちを見た
「おー、平野……。
急に席立ったと思ったら……」
「先生、続きどうぞ。」
戸惑う先生を言いくるめて
紫耀くんは大袈裟に椅子を引き、ガタン、と席に着いた
私もしぶしぶ席につき
ポーっと空を眺めた
さっきの鳥たちはここからじゃ見えなくて
ちぎれた雲だけが ひょこっと顔を出している
机の上は落書きだらけで
私はとりあえず、流し読んでおいた。
教科書でも出すか、
そう思いガサガサと探ってもノート類1冊も出てこなく
机の中、奥の方まで手を突っ込むと
ピリッと痛みが走った
ゆっくりと、人差し指を机から出すと
赤い赤い血が たらりと垂れた
ちょうどチャイムが鳴って
みんなはガヤガヤと私を取り残していく
だから高校生なんてイヤなんだ
なんにも面白くない
いつだって浮遊物の私は
血を流す原因がここにあると言うのに
血を流したって 気づかれないし
もうやーめた。
溢れる血を見つめて 私は席を立つ
もう誰も私を見なくていいように
私から離れてあげるよ
だから喜べ
だから笑え
私はヒトサマに迷惑をかけるために産まれてきたんじゃないし
ヒトサマの顔色を濁すためにここで息してるんじゃない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霞草(プロフ) - aimiさん» コメント頂けて嬉しいです。久しぶりになにか執筆したいなぁと思ってます！ (2021年10月10日 1時) (
レス) id: cf24c8e438 (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - あと、燃える心に駆け抜けろの続編が読みたいです。よろしくお願いいたします (2021年10月6日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 私、こういう感じの作品初めて見ました‼️また、書いていただけると嬉しいです‼️ (2021年10月6日 20時) (レス) @page37 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
すばりてちゃん - あぁ、やっぱり作者様が紡ぐお話はエモすぎる、と心より思います。いつか私も、作者様のように人を動かせるような言葉を紡げたらと憧れました。陰ながら応援しております。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: 9aa5aa9bdc (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 岸くんのストーリー好きです。続編で長編とかも書いてもらいたいです。また、廉くんのストーリーも、番外編でも良いので、ハッピーエンドになるようなお話が読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年3月24日 7時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霞草
| 作成日時：2019年3月19日 0時
