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そのまた三日後
岸くんが荷物を持ってオフィスに現れた
その口元には絆創膏が貼られていて
目元もなんだか赤く腫れている
「どしたんだろね」
桃花は岸くんを見て言った
「ま、運送会社とか色々あんでしょうけど」
若干 岸くんを見下したように見えて
私は思わず 桃花の顔を睨んだ
何よ、と言わんばかりに
桃花はパソコンへと視線を戻した
「あざっす!」
と、いつもみたいに礼を言う岸くんをおいかけて
エレベーターの前で引き止める
「なんかあったの?それ。」
絆創膏を指さすと
岸くんは分かりやすく顔を曇らせた
「Aさん、今日も残業ありますか?」
「え?」
「今日で最後なんですよ、あのお祭り」
.
仕事終わり、また岸くんのトラックに乗って
あの川沿いへ来る
今日は遅くなる、と初めてサトルさんに連絡を入れた
「Aさん、俺、異動になったんです」
「え、?なんでいきなり……」
「だから今日で最後だったんですよ、
この運送会社にいるのも。
Aさんのオフィスに出向くのも。」
それを聞くと
なんだか無性に 寂しくなった
岸くんと会えなくなるのは
嫌だな、とおもった
「俺と少しでもこうやって一緒にいてくれて
ほんと、ありがとうございました」
「やめてよ……なんか、もう一生会えないみたいな言い方」
岸くんは笑った
目元の傷が しわになって
痛そうで、痛そうで、
「岸くん、好きって言ってくれてありがとう」
そういうと
岸くんはまた顔をしわくちゃにして笑った
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霞草(プロフ) - aimiさん» コメント頂けて嬉しいです。久しぶりになにか執筆したいなぁと思ってます! (2021年10月10日 1時) (レス) id: cf24c8e438 (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - あと、燃える心に駆け抜けろの続編が読みたいです。よろしくお願いいたします (2021年10月6日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 私、こういう感じの作品初めて見ました‼️また、書いていただけると嬉しいです‼️ (2021年10月6日 20時) (レス) @page37 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
すばりてちゃん - あぁ、やっぱり作者様が紡ぐお話はエモすぎる、と心より思います。いつか私も、作者様のように人を動かせるような言葉を紡げたらと憧れました。陰ながら応援しております。 (2019年12月25日 12時) (レス) id: 9aa5aa9bdc (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 岸くんのストーリー好きです。続編で長編とかも書いてもらいたいです。また、廉くんのストーリーも、番外編でも良いので、ハッピーエンドになるようなお話が読んでみたいです。よろしくお願いします。 (2019年3月24日 7時) (レス) id: 5ca5d758c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霞草 | 作成日時:2019年3月19日 0時