恋とかホント、つまんないのに。【短】

恋とかホント、つまんないのに ページ11

．






「わ、また来てるよ」


そんな同僚の桃花の声を聞いて
オフィスの入口を見る。
そこには淡いブルーの作業着を着た、いつもの彼が立っていた



「あざっす！」



ハンコを貰うと、帽子を上げ
ペコッとお辞儀をする


彼の名は 岸優太


たぶんどこかの配送業者の人で
うち宛ての荷物をこうして届けてくれる

そうしてその後に必ず




「Aさん！」



ほら、やってきた。
子犬みたいに キュルキュル、ってした目で
私のもとへ駆け寄ってくる



「今日はどうっすか？？」



私へのアピールなんて
分かり易すぎて
余計に私は ツンケンな態度をとってしまう




「今日は残業するからムリ」

「まじっすかー、じゃあ俺戻ります…」



またまた分かりやすくしょげて
そのお尻には垂れ下がった尻尾まで見えそう




「ほんと好きだよねーAのこと」


桃花はボールペンをカチカチさせながら
なんだかぶっきらぼうに呟いた

そういえば最近
付き合っていた彼に浮気が発覚したとか、言ってたような。





「からかってるんじゃないかな、年下の子だし」

「どうだか。」




桃花はそう言って また、パソコンへと視線を戻した
私もさっきの続きの事務を続ける


時計は５時になり
予定通りの仕事を終えた私はデスクを立った

今日はスーパー寄らなきゃ
たぶんサトルさんも家に来てる



「あれ？残業じゃなかったんですか？」


……最悪だ。
エレベーターに乗り込むと
ちょうど違うオフィスからの帰りの岸くんと乗り合わせてしまった





「まぁ、仕事案外スムーズに終わったから」

「じゃあ俺とご飯！」

「行きません。」




岸くんはからかいの度を超えて
私のこと ほんとに好きなんだろうか、
なんて勘違いしてしまうほど
私へやたらお誘いをしてくる




「なんでいつも無理なんですか？」

「え？なんでって言われても、」

「彼氏でもいるんですか？」



思わず岸くんの顔を見る
岸くんは変わらず ボタンを見つめている





「いるわよ1人くらい、もう27だし」



そう、あなたと違って私は婚期逃すと堪んないの。
そんな思いを込めて岸くんを睨む
まだあなたは22になったばかりでしょ？






「ふーん、、
それほんとに好きな人？」




岸くんは顔を上げた
ちょうど チン！と音がなり
1回のロビーに着いた


岸くんは先に降りて ドアを抑えてくれて
私が降りると ペコッと頭を下げて関係者入口へと行ってしまった。

･→←･

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す