叶わないはずの恋 Ninomiya (ページ15)

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15 家出（加音side）ページ15

冬の夜空は夏のものより闇が深い

こんな夜は自分が不幸に堕ちているのではと錯覚してしまう

私の家はいたって普通の幸せな家庭

両親は仲が良く、私の下にいる二人の弟たちとも喧嘩なんて一度もない

だから不幸に堕ちているなんて考える私は少しおかしい

でも

二宮兄妹を見ていると思う

私のこの幸せを少しでも分けられたらと…

加「…そんなこと考えても仕方ないのに

ただの自己満足だよ、これじゃ」

自分の幼稚な考えに、思わず苦笑しため息をついたところで

家の前に人が立っているのを見つけた

加「…え！？」

それが誰だか完全に理解するより前に、私は玄関に向かっていた

ドアを開けた先には寒空の下制服のみで立っているA

加「こんなところで何してるの、A

こんな薄着で！！」

あ「…加音……っ」

私のことを認識した直後Aは私にしがみつき泣き始めた

私たちの話声を聞きつけてきた母は何も言わずAの肩に毛布を掛けてくれた

・

・

加「…落ち着いた？」

あ「…うん、ごめん、ありがとう」

どれくらい経ったかようやく泣き止んだAと私の部屋で二人

彼女がぽつぽつと話し始めた

加「…いきなりそれは、確かに逃げるね…」

無言で頷くA

加「…でもさA。

Aだって好きでしょ？和くんのこと」

ビクッと身体を揺らした彼女の肩に触れる

加「だって前から嫉妬、してたでしょ？女子たちに」

あ「……わからない、気持ちに気付いたのは今日で、半日でいろいろありすぎて」

加「なら、今日はここで考えて、明日しっかり話してみたら？

応援する！」

私の言葉にAは目を丸くして驚いた後

儚い花が咲いたように

ふんわりと笑った