叶わないはずの恋 Ninomiya (ページ30)

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30 望まれなかったこども（あなたside）ページ30

どんなに願っても時間は過ぎ、お母さんが来ると言ってきた日がやってきた

留守電を聞いた日から昨日までの記憶は曖昧で、何とも言えない恐怖を感じる

昨日から春休みに入ったけどとてもじゃないけど浮かれられない

ここ数日和ともあまり会話がなくて和がどう思っているのかも聞けないまま

それでも彼は私を安心させるように近くに寄り添ってくれていた

ピンポーン…

と来客を知らせるチャイムが鳴って私は重い足取りで玄関へ行きドアを開けた

母「……久しぶりね」

私とその後ろに立つ和を見て一瞬言葉に詰まったように見えたけど

聞こえた声は冷やかなものだった

あ「そう…だね、4年ぶりだから」

和「…」

和は何も言わず、先にリビングに戻ってしまった

リビングに腰を下ろして果たして何分過ぎたころか、ようやく母が話し始めた

母「要件は電話で言ったことなのだけど…あｎ…」

和「その前に俺から話していい？」

その声はどこか責めるような色を帯びていた

和「A、今まで黙っててごめん

…俺たち兄妹じゃないんだ」

和の話したことが音として耳に届いてから、その言葉の意味を理解するまで３秒はかかった

母を見ると驚愕の色を浮かべて固まっていた

母「……いつから知っていたの」

和「…あなたたちが出ていく前、言い争ってた夜です」

和の言葉を聞いた母は、諦めた顔をして２枚の書類をテーブルに置いた

それは私たちの戸籍謄本

同じ苗字同じ生年月日

違うのは…

私のには養父の欄、和には養母の欄にそれぞれ名前があった

そして私の戸籍には父親の名前が…ない

母「私には当時、親の決めた許婚がいて、その縁談を断った日に乱暴されてね。あなたを身ごもったの、気付いた時にはもう何もかも遅くてあなたを産んだ。
でもそのあと彼はあなたの認知を拒んで、慰謝料という形でまとまった額を渡されたわ」

つまり私の父はお金と引き換えに私の存在を拒否したのだ

母「亨良(ｱｷﾗ)さんと結婚するときに、前妻との間に和也くんがいることを知って複雑だったけど私も同じようなものだし責められなかった。それでそれぞれに養子縁組をしたの」

母「でも私たちの間に子供はできなくて関係は悪化していった」

母「それに成長していくにつれてあなたからあの人の面影を感じるたびに、あの日の出来事がフラッシュバックして、普通じゃいられなかった。」

だから置いていったと

彼女は言った