北一出身の白鳥沢男子

32球目 ページ34

一体、どれくらいの時間試合をしていたのだろう。
気づけば向かい側では涙を流す青城の人達がいた。

「勝った……のか？」

天「勝ったヨ〜！」

白「最後に牛島さんのスパイクでどかんと」

　試合中のことはあまり覚えていない。終盤、流れに乗った白鳥沢は点差をどんどん広げ、最終的に7点差くらいで勝ったらしい。

五「海麗、ゾーンに入ってたもんな」

「そうなのか？」

五「あぁ。目が据わってた」

天「なんか静かだったよネ」

白「の割にはあんまりスパイク読めてなかったよな」

「賢二郎さん！」

　とりあえず勝てたのか……。

「全国か」

　全国出場。中学の頃には叶わなかったこと。実感が全然湧いてない。

五「あぁ。全国行くぞ」

　そう言い、みんなで喜びを噛み締めていると及川さんと岩さんが来た。泣きはらした目は真っ赤になっている。

及「俺らは春高まで残る。次戦う時は、ウシワカちゃん達が涙を流す番だから」

牛「俺たちは強い」

及「知ってる。それ以上に青城は強いから」

　そう言うと及川さんは背を向けてしまった。

岩「……エース対決、次は勝つからな」

　岩さんがそう言うと及川さんは岩さんの方を思いっきり向いて驚いたような顔をした。

及「岩ちゃん、イケメン！」

岩「うるせー！帰るぞ」

及「はいはい。そうだ、ウシワカちゃん。覚悟しててね」

　そう言って帰る及川さんは、今まで見た中で1番かっこよかった。

33球目→←31球目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す