4 5 拍 目 ページ10
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「……いいの?」
「うん。僕、アイドルに興味ないし。Aってジュウニキーズ好きでしょ?」
おずおずと受け取ると、無一郎は優しく微笑んだ。
……甘ったるい。溶けそうなほどに、優しい目だった。
何かを愛おしむかのような、そんな。そんな……。
ぎゅっ、とUMEちゃんを抱きしめた。
よくわからない感覚だった。これを言葉で表せるというなら教えてほしい。
何か……自分が、おかしくなるような。喉に何かがつっかえたような。自分の語彙力じゃ表現できないけれど、ただ、無一郎と目を合わせるのが辛くなった。
「あ、言うの忘れてたけど……浴衣、似合ってる。かわいーよ」
「っ、いきなり耳元で囁くなっ!!」
誰だよ、無一郎をこんな女ったらしにしたやつは。
乙女ゲームじゃないんだぞ。
だけど、近づいてきた無一郎を引き離すのをためらってしまう。
これがお祭りパワー?
引き離すんじゃなくて、過去一のスピードで無一郎から離れた私は、UMEちゃんを抱き締めたまま顔をそむけた。
「そっちの浴衣もなかなかじゃない?」
「ごめんね、なかなかってどういう意味?」
前 言 撤 回。
引き離すことに何のためらいも感じないわ。
ぐっ、と一歩踏み込んできた無一郎を「自分で理解しろ!!」と叫んで思いっきり肩を押す。
……まあ私が一生懸命押しても、無一郎の場合全然下がってくれないんだけど。
「ね、A。……言ってよ、」
……まあ罪悪感はある。
こんなにも私に言ってくれるのに、応えられない罪悪感。
無一郎も素敵なのに、炭治郎ばかりに目がいって素直に褒められない罪悪感。
……でも。
「……無一郎、は――」
ピコン!
その瞬間、カナエ先生から貸してもらった和風のかごバッグから音がした。
たぶん――――スマホの。
無一郎は若干不貞腐れたような顔で「どうぞ」と言った。
また胸が痛くなるのを感じつつ、スマホを取りだしてトークアプリを開く。
予想外の人から、予想外のメッセージだった。
禰豆子ちゃんあの、先輩方の助言を借りたくて……。
私、カナヲ、真菰、アオイちゃん、禰豆子ちゃんの女子だけのグループに、禰豆子ちゃんのメッセージがトップに上がっている。
すぐに全員分の既読が付く。
禰豆子ちゃん相談なんですけど……。
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ゆうなつ - これからも頑張って! (2021年12月21日 21時) (レス) @page13 id: 17277d702c (このIDを非表示/違反報告)
奏@炭治郎大好き - お知らせ見ました!ゆっくり更新するんですね!無理せず頑張ってくださいね!この作品と作者様が大好きです!頑張ってくださいね!私、落ち込んでいたときにこの作品みつけて、とても励まされました!今度は、私が作品様を励ませるような人になれるよう頑張ります! (2021年9月3日 18時) (レス) id: 605309b64c (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 奏@炭治郎大好きさん» 優しいです〜思わず涙出ました笑 作者の事情ですみません。でも、待ってくれている方がいて嬉しいです……できるだけ更新するように努力しますね。ありがとうございます!! (2021年8月24日 22時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 炭治郎好き。さん» ありがとうございます〜!!謙虚せずに受け取りますね(おい) 炭治郎好き。さんも文章力すごいですよ、毎回毎回話の発想が凄い……!! (2021年8月24日 22時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
奏@炭治郎大好き - 全然大丈夫です!むしろ充分に休んでください!私はこの作品大好きですし、作者さんも大好きなので全然大丈夫です!ゆっくり休んでください!もし戻ってくるのであれば応援します!ゆっくり休んでくださいね!(^ω^) (2021年8月24日 16時) (レス) id: 605309b64c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年7月22日 20時