第伯弐拾玖譚 仇 ページ9
・
気づけば、知らない部屋に飛ばされた。
瞬間、重い空気を肌で感じた。
ずん、と体の奥底に響く重圧感。
禍々しい気配、怖気。
この感覚を感じるのは、二度目。
本能が、警告を鳴らす。
耳障りな音が、さらに強まる。
?「おまえは……どこかで見たことがあるな」
柄を握りしめる。
強く強く。
?「柱……女にしては、なかなかの……」
時透「に……げてっ、A……っ」
時透さん、ごめん。
逃げるわけにはいかないんだよ。
コイツだけは。
栗花落さん。
やっぱり――――約束、守れそうにないよ。
小鉄くんも。甘露寺さんも。
ごめんね。
黒死牟「名を……なんという。私は……黒死牟」
『……雪柱。雪城A……』
・
どうして?
どうして憎しみや怒りが湧かないの?
・
黒死牟「雪柱……か。聞いたことがない……」
『ええ。我流の呼吸ですからね。当然ですよ』
なのに。
声が震える。
『……もう、』
もう。
いいよね。
我慢しなくても。
柚音。
・
『……目が六つなんて、いつ見ても気持ち悪ぃよなぁオイ!!』
・
目が六つある、人ならざらぬ者に、そう吐き捨てた。
――――――――――
――――
黒死牟「嗚呼……氷の末裔か……。あの山奥の……。
あの日から4年……なかなかに感慨深いもの……」
『わたしは感慨深くなんかねぇよ。
おまえの顔が、朝も、昼も、夜も、ずっとよぎるんだよ。
発狂することもできなくて、おかしくなりそうだったよ!!』
コイツのせいで、両親が死んだ。
両親が死ななければ、柚音が死ぬこともなかった。
記憶を失うことも。
椛が鬼になることも、なかったかもしれない。
コイツが、全部狂わせた。
黒死牟「月の呼吸、壱ノ型 闇月・宵の宮」
『っ、雪の呼吸、捌ノ型 かまくら!』
慌てて呼吸を使って対応する。
かまくらで、ある程度の攻撃を消す。
消しきれなかった分は、避けるしかない。
黒死牟「ふむ……対応できるとは……」
『てめぇに褒めてもらっても嬉しくねーよ。
それに、これで終わりなわけがねぇだろ?』
ねえ、どうしよう。
抑えられない。
感情の制御、しないと。
・
嗚呼。
もう、いいか。
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朱音 - コレは涙ナシには読めません!!ホント作者さんは神です。 (1月4日 18時) (レス) @page47 id: f38b69f778 (このIDを非表示/違反報告)
氷華 - お疲れ様です。 マジで泣ける。だいたい夢小説ってご都合の良いもの多いけど、この小説は神。無一郎&夢主来世で幸せになってるのうれしすぎ、、!文才ありすぎでしょうらやましい 長文失礼しました これからも頑張ってください! (2023年3月21日 11時) (レス) @page47 id: 1934e7457c (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - Chiffonさん» あわわ、ありがとうございます〜!!なんかめちゃくちゃ嬉しいこと言われて、テンションがおかしくなった作者です() 今世で亡くなることは初めから決まっていたので、そこはサラサラと書けましたね。徹夜で最後まで読んでいただきありがとうございました〜!! (2021年10月10日 21時) (レス) @page47 id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
Chiffon - あの…徹夜で読んだ中学生です…。作者様に一言。泣きました…。今世で亡くなっても来世でまた再開するところとか…。あとですね、文才がですね…。ください← ………すみません。深夜テンションなので意味不明ですね。とりあえず…素敵な作品をありがとうございます (2021年10月8日 4時) (レス) @page47 id: 030621147b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 無有さん» コメントありがとうございます〜!!スランプ気味ではありますが、次の作品も頑張りますね。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楪日織 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kasumi88/
作成日時:2021年5月9日 14時